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メキシコ絵画展−歴史と向き合う画家の精神

 先日、世田谷美術館で開催されていた「メキシコ20世紀絵画展」に行ってきた。今年は日本とメキシコの友好関係が始まって400年の記念の年に当たる。

 会場入り口を飾ったのは、日本初公開となる、フリーダ・カーロの「メダリオンをつけた自画像」。フリーダは18歳のときに交通事故に巻き込まれ、鉄パイプが脇腹から子宮を貫くという重傷を負った。病床で絵筆を持ち、生涯自画像を中心に描いた女性画家である。衣装、工芸品、装飾品を通じて常に「メキシコ的なもの」を表象する存在でもあった。

 会場には、「十字架を自らの手で壊すキリスト」(ホセ・クレメンテ・オロスコ)、「死者の日」(ディエゴ・リベラ)、「5月1日『メイデー』の行進」(ダビット・アルファロ・シケイロス)などメキシコ壁画運動3大巨匠の作品はじめ、民族的で生命力にあふれ、労働の力強さを表現した約70点の作品が展示された。

 メキシコの近代美術は長く続いた植民地支配からの独立後、国際社会の中で自らのアイデンティティを再確認する社会の変動と密接に結びついていたようだ。そこには労働者や農民の姿も多く描かれ、識字教室で文字を学ぶ人の姿や色鮮やかな民族衣装、民族の伝統的な風習などが描かれている。

 朝鮮とメキシコが国交を結んだのは1980年9月4日。04年4月には、沙里院市とメキシコのプエブラ州ラファエル・ララ・グラハレス市が姉妹都市になった。

 朝鮮と日本との間に国交はまだない。いつか日本で「朝鮮20世紀絵画展」が開かれることを願ってみる。(潤)

[朝鮮新報 2009.9.4]