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写真集「開城」−「いやぁー、きれいだねぇ」

 写真集「開城」(写真=文光善、文=洪南基)がこのほど梨の木舎から刊行された。読売新聞などの新刊紹介を読んで、さっそく読者から問い合わせが続いているようだ。

 本書の刊行を誰よりも祝福してくれたのが、巻頭に「広く世界の人々に」と題して推せんの言葉を寄せている斎藤忠・大正大学名誉教授である。同氏は昨秋100歳になったが、ますますお元気で考古学研究に心血を注いでおられる。

 先週、この写真集を東京・練馬のご自宅にお届けしたところ、「いやー、すばらしいね、きれいだねぇ」と感嘆の声をあげて、少年のような笑顔で喜んでくださった。とくに、本の中に紹介されている霊通寺は、98年5月初旬、大正大学創立70周年の記念事業として、現地で日朝共同発掘の鍬入れを行った縁が深い場所。いま、みごとに復元した寺の陰には、同氏らの尽力があったことも忘れてはならない。

 「この寺は高麗時代の高僧・大覚国師の碑も残り、当代随一の名僧らが学問に励み、詩人たちが競ってその美しい景観を歌に詠んだ由緒ある寺。本当はテントで一泊でもして、感激に浸りたかったが、狼が出没するというので断られた」というほど、思い入れが深い場所なのだ。

 そのときは車が通れる道がなく、「岩を砕き、水溜まりを越え、険しい山道を徒歩で1時間。そこにトラクターが来たので、幸いとばかり乗せてもらったが、縦横に振動する激しい揺れに、せり落とされるのではないか、いつ落ちるのかと心配で、あたりの景色を見る暇がなかった」と述懐する。

 古都の大きく変貌を遂げた姿と変わらぬ姿。写真集にはその両方が鮮やかに写し出されている。(粉)

[朝鮮新報 2009.3.27]