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オバマ政権は、タリバン勢力の攻勢が止まらないアフガニスタンに3万人の兵力を追加派遣することを決定した。ブッシュ前政権がイラクで実施し「効果があった」と自賛している「シラミつぶし作戦」を再現するのだという。一般住民を隠れ蓑にして作戦を展開しているタリバン勢力を、一軒一軒当たりながら摘発・せん滅していくと、まことに威勢が良い ▼「1人勝ち」だった第2次世界大戦後、その鼻をへし折られた朝鮮戦争、その傷も癒えぬうちに自らの力を過信し突入したベトナム戦争。結果、超大国・米国の象徴だったドルの威信はちょう落し、国家的な危機に直面することになった ▼当時のニクソン大統領は「アジアではアジア人同士戦わせる」との米国不介入ドクトリンを発表せざるをえず、撤収を決めた。しかし「喉もと過ぎれば熱さを忘れる」のだろう、以前と同じことを繰り返そうとしている ▼いまやドルの威信というものは無きに等しいが、リーマン・ショックから抜け出せない経済回復のカンフル剤として戦争を利用しようというのだろうか。これも古典的な手法だ。イラク侵攻、その後の事態が示しているように、現代の戦争において勝者は存在しない。相手側が被る傷と同様に、自らも取り返しのつかない痛手を被るからだ ▼ボズワース米朝鮮問題担当特別代表が8日から訪朝、オバマ政権下での初の本格的対話が始まる。南朝鮮当局者は、平和システム樹立論議に強い危機感を持っているようだ。しかし、このテーマを論議、解決することなく朝鮮半島の平和問題は片付かない。(彦) [朝鮮新報 2009.12.4] |