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春・夏・秋・冬

 日本政府やメディアがよく口にする決まり文句を無反省に使っていると、無意識に思考が固まり、見方が偏り、思わぬところで人を傷つけたりもする。オバマ米大統領のプラハ演説とノーベル平和賞受賞以降、よく耳にする「唯一の被爆国」という言葉も然り

▼鳩山首相は9月の国連安保理首脳会合で、「核兵器を作る能力はあるが持たない。唯一の被爆国として道義的責任がある」と発言。石原東京都知事は、オリンピック招致問題と関連して「唯一の被爆国である日本が広島、長崎でやる意味、意義は非常にある」と述べた

▼日本のある市民団体が訪朝し外交部門の関係者と会談した際、「唯一の被爆国としていかなる国の核も容認しない」として朝鮮の核開発に憂慮を示した。あまりにも一般的に使用されていることが嘆かわしい。はたして「被爆国」をどのように定義すれば、日本(人)が「唯一」になりうるのだろうかと考えてしまう

▼広島や長崎で被害に遭ったのは日本人ばかりではない。強制連行、徴用など、朝鮮人被爆者は7万人(広島5万人、長崎2万人)とも言われている。ほかにも中国人や米軍捕虜もいた。米国が60数回にわたって核実験を行ったマーシャル諸島にも多くの被害者がいる。米国がイラクなどで使用した劣化ウラン弾被害者もいる

▼日本が朝鮮を植民地にせず、侵略戦争を起こさなければ助かった命がある。戦後は米国の「核の傘」の下に居座り、米軍の核持ち込みを容認してきた。日本が国として核問題に言及するには、克服すべき問題が山積している。(天)

[朝鮮新報 2009.10.26]