top_rogo.gif (16396 bytes)

春・夏・秋・冬

 「話を運んであげることで人と人とをつないであげたい」。80歳にしてますます活発な「明成皇后を考える会」の甲斐利雄さんの発言は力強く、メッセージ性を帯びていた(9月12日、西東京東部同胞文化講座)。中島みゆきさんの曲「糸」と重なる。「縦の糸はあなた/横の糸は私/織りなす布は/いつか誰かを/暖めうるかもしれない」

▼甲斐さんは出会いを大切にする。教員時代に出会った在日朝鮮人の少女から明成皇后殺害事件について聞かされたのが最初のきっかけ。事件に熊本県出身者21人が関与したことを同郷の者として見過ごせなかった。以降、日本と朝鮮半島の問題に関心を持ち、歴史教育や交流、そして明成皇后の研究に努めてきた

▼事件について調べていくと、思わぬ出会いがあった。安重根は「明成皇后殺害」を理由に、伊藤博文を射殺し断罪した。監獄では、安重根の信念や人間性に心を打たれた日本人看守と立場を超えた交流があった。ここで通訳を務めた人が熊本出身だった。安重根の魅力に引かれ著作を残した熊本出身の作家もいた。その子孫たちは、今も先代の思いを受け継ぎ交流し、朝鮮と日本の友好関係を「暖め」ている

▼前述の曲は「逢うべき糸に/出逢えることを/人は仕合わせと呼びます」と結ばれる。「仕合わせ」は「めぐり合わせ」という意味を持つ。出会って互いの「すること(仕)」を「合わせる」ことで幸せになるという

▼「明成皇后を考える会」は8日、明成皇后114回忌の命日墓前法要に参列する。「しあわせ」をつかみ、真の友好を織りなすために。(天)

[朝鮮新報 2009.10.5]