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2000年、ブッシュ次期政権によって阻まれ、今回、9年遅れでようやく実現した平壌訪問。クリントン元米大統領の脳裏にはどういう事がよぎっていたのだろうか。「私的」とはいえ、ホワイトハウスの掌中下、死ぬまでVIP待遇を受け続ける大統領経験者の行動の持つ意味はそれほど単純なものではない ▼そういえば、政権の丸投げが続いたせいもあってか、日本政界を見渡すと、首相経験者がごろごろしている。大統領経験者を「使う」米国に比べて、座して何とかではないが、さしたる役割も果たせず声もかからない日本、この差は何だろうかと思う。政治の貧困と一言で済ませるのは簡単だが ▼2002年9月、小泉首相が訪朝し朝・日平壌宣言が発表された。日本の侵略の過去清算への道筋、拉致事件の解決も確認された。しかし、今や日本側は同宣言そのものを棚上げにしたも等しい。安倍政権の登場が拍車をかけた ▼当時、安倍首相が朝鮮の体制崩壊、総聯潰しに血眼になったのは記憶に新しい。在日朝鮮人にとっては忘れようにも忘れられない弾圧の所業の数々。総連中央会館問題を巡って強硬な対応を見せ、「金融庁のお墨付きも得られつつあった」和解交渉について整理回収機構(RCC)に妥協を許さなかった(「公安検察」=講談社)という。警察はむろん、検察も右に倣えだったと同書は告発する ▼思考を停止させたままでは何事も前には進まない。早くその事に日本社会は気付くべきだろう。そうでなければ、趨勢からますます取り残されていってしまう。(彦) [朝鮮新報 2009.8.7] |