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米国のオバマ大統領は、公的資金を受け経営再建に取り組みながらも巨額の賞与を受けた金融機関の経営陣に対して、「抑制や自戒、責任といった感覚を少しはみせてほしい」と批判した ▼オバマ大統領は選挙戦で、新自由主義や格差社会の現状を批判し、雇用創出、中産階級の減税などを公約に掲げた。世界的な金融危機、米国の経済悪化、広がる格差、こうした状況からの脱却を願う思いが、「チェンジ」の合言葉に結びついた。だが、根本原因である新自由主義からの「チェンジ」には結びついていない ▼国家経済会議の議長に就任したサマーズ氏は、1990年代の経済成長をもたらしたクリントン政権下、ルービン財務長官の下で副長官を務めた。財務長官に就任したガイトナー氏は、99年に財務長官に就任したサマーズ氏の下で国際金融を担当。市場安定化への対応で高く評価された ▼だが彼らは、クリントン政権下で規制緩和、民営化など市場経済原理主義、新自由主義を押し付ける「ワシントン・コンセンサス」を世界に広めた。97年アジア通貨危機の黒幕で、「自作自演」だったとの見方もある。実際、ヘッジファンドの無法を黙認した。通貨危機以降、アジア諸国による「ドル買い支え」が進み、米企業による買収、規制緩和がなし崩し的に進められてきた ▼金融不安の解消、格差抑制、社会保障の充実など課題は山積だが、米国の経済再建が他国の犠牲の上に成り立ってはいけない。オバマ政権が「抑制や自戒、責任といった感覚」を持ち合わせていることを願う。(天) [朝鮮新報 2009.2.2] |