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「全国高校ラグビー選手権」都予選決勝 東京朝高 花園を前に涙

 東京朝鮮中高級学校高級部ラグビー部が00年、06年に続く、3年ぶり3度目の「花園」挑戦で、涙を流した。15日、東京・港区の秩父宮ラグビー場で行われた「第89回全国高等学校ラグビーフットボール大会」都予選第1地区決勝で、強豪・國學院久我山高と対戦し、0−76(前半0−20)で完敗した。

前半で抑えきれず

果敢に攻める東京朝高選手たち(文光善記者撮影)

 東京朝高は数多くの同胞、生徒らが見守るなか、初の「花園」を目指し、3度目の決勝に挑んだ。

 先制トライを狙っていた。しかし前半7分、ミスから左に展開され左中間に先制トライを許す。ロースコアの展開を狙ったが、13分、26分に右隅、30分には左中間に押し込まれた。久我山のゴールキックが不成功だったこともあり、前半を0−20で折り返した。

 「まずは取り返そう」とトライを狙い臨んだ後半だったが、久我山のスピード、パワー、フォローの早さは衰えることがなかった。グラウンドを幅広く使った攻めに翻弄され、1分、3分、7分、15分、21分、24分、28分、31分にトライ、ゴールを決められ、大差がついた。

 試合後、呉昇哲監督は、「朝高伝統のタックルで応戦したが、前半に抑えることができなかった。都大会決勝という経験の蓄積、ここで味わう悔しさを、毎年重ねていってこそ『全国大会』出場が明確に見えてくるだろう」と話していた。

 在日ラグビー関係者は、ノーサイドの笛を聞くや、「(久我山は)強い。全国ベスト4ぐらいの実力校だ」と脱帽していた。

気持ちを一つに

 今年のチームは高3を中心に組み立ててきた。とくに、レギュラーのなかには昨年の都大会準々決勝を経験した選手が9人いたが、数カ月前までの実力を知る在日本朝鮮人闘球協会や、在日本朝鮮人東京都闘球協会の関係者らは決勝進出に驚いていた。短期間に合宿などを通じ、実力を格段に上げ決勝進出を果たしたからだ。

 高3選手らはこの間、練習後にミーティングを重ねた。同級生同士が「花園」への気持ち、部を牽引していこうという気持ちをひとつにした。

 同胞の支え、学校のバックアップも選手にしっかりと伝わった。選手らはその期待と温みを感じとりながら、憧れの秩父宮でプレーした。

 卒業後、朝鮮大学校ラグビー部で盛り上げていきたいという1番プロップの鄭潤哲主将(高3)は、「同胞や学校と一体になりながら、ラグビーができたことは財産。みんなと一つの志をもって、きつい練習を乗り越え、試合に勝つという喜びを味わえた」と話していた。

 姜龍熙さん(57)、宋蘭映さん(55)夫妻は、4人兄弟の末っ子である姜守哲選手(高3、3番プロップ)が涙する姿を静かに見守っていた。

 姜さんは、「チームが試合ごとに強くなっていただけに、余計に悔しかったんだと思う。楕円球を握ったこともない息子が高校からラグビーを始め、体力だけではなく精神面においても日々鍛えられていく姿は実に頼もしかった。ラグビーから学んだものを、これからの人生に生かしてもらえれば」と語った。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2009.11.18]