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在日同胞大登山大会 現地ルポ〉 めざせ「日本百名山」制覇!

「登りきったときの爽快感はとりこに」

 長野県の上高地・焼岳で盛大に開催された第15回在日同胞大登山大会(主催=在日本朝鮮人登山協会)。今年も日本各地から集った同胞たちは、北アルプスの大自然に触れながら、一年ぶりの再会を喜び、山の醍醐味を存分に味わった。

険しい道程

頂上を制覇し、笑顔で記念撮影

頂上までもうひと踏ん張り!

頂上で飲むコーヒーの味は格別

河童橋を渡る一行

 登山組(80人)は、焼岳の北峰(2399メートル)を目指した。

 午前6時50分にホテルを出発。バスでらせん道をぐるぐると登り、新中の湯登山口(1530メートル)に到着。

 一行は、ウォーミングアップで体をほぐし、リュックを背負い、スティックを手に登り始めた。

 草木に覆われたジグザグ道を2時間弱、マイナスイオンを全身に浴びながら突き進む。

 途中、倒木やぬかるんだ道に前途を阻まれ、時折、雨に見舞われながらも一歩一歩着実に歩を進めた。

 深い森を抜け、下堀沢出合(1980メートル)付近まで登り辺りを見渡すと、色づき始めた紅葉が一行の目を楽しませてくれた。目前には北峰も見えてきた。

 そこからは、丸太はしごや石がごろごろ転がる急坂を登った。

 2200、2300メートル…分標識のあるコル(鞍部)に着くと、グリーンの水が溜まった噴火口を見下ろせる。

 気温もぐんと下がり、風も吹きつけてきたが、山頂までもうひと踏ん張り。

 岩壁をトラバース(横断)し、真横で噴煙のあがる急斜を、手を取り合いよじ登る。

 いよいよ頂を制覇。一行は、苦労して登ったかいがあったと「マンセー(万歳)!」を叫び、記念撮影をした。

 曇り空と強風、霧がたちこめ、360度の大パノラマとまではいかなかったが、笠ヶ岳や上高地を望みながら味わうコーヒーやおにぎりの味は格別だった。

 帰りも互いに励まし合い、助け合い、無事に下山した。

参加者たちの声

散策の合間の休憩

岩壁をトラバースする

険しい岩道も一歩一歩進む

森林浴を楽しみながら歩を進める

 2回目の参加となった姜順実さん(大阪、55)は、居住する河北支部のハイキングサークル「シンパラム」の責任者を務めている。「ある意味、登山中毒かもしれない。お金も時間も体力も使うが、登りきったときの爽快感にとりこになっている」と話した。

 南成萬さん(西東京、66)は、4回目の参加。「いつも山に登るとさまざまな感動をもらえる。『生きている、できるんだ』という実感に浸れる。また、このときだからこそ会える同胞がいる。昨年は32年ぶりに旧友と会えた。これから地域での活動ももっとがんばりたい」。

 神奈川県から参加した金仁淑さん(59)と金信子さん(55)の仲良しコンビは、金英名誉会長に誘われ、大登山大会に参加するようになったという。「登山は自分との闘い。その過程は苦しいけど、制覇したときの快感は言葉に尽くせない」「こんなに多くの同胞を集められる組織力はすごい。毎年、ここでエネルギーを蓄え、地元に帰る。登山仲間は本当にいい人ばかり。歳も関係なく、みなが仲良し」などと語った。

 東京の安松美さん(64)は、7年ぶり、娘とともに参加した。「久しぶりに参加し、同胞ならではの楽しい雰囲気を味わえて気分がはずんだ。足を悪くして登山はできなかったが、同胞たちとの散策は足が痛いのも忘れ、リフレッシュできた」と語った。

 初参加となった長野県の朴甲基さん(59)は、「日本各地の同胞たちとはもちろん、南からの登山家たちとも交流し、とても有意義な時間を過ごせた。北の同胞たちにも山好きな人はたくさんいるはず。彼らも招いて、民族同士もっと輪を広げられれば」と笑顔で語った。

 顧問の李福権さんは、81歳。参加者中の最高齢だ。普段は散策や囲碁をたしなむ。「歳を取るともの淋しくなる。一人で険しい山に登るのもいいが、同胞たちと一緒に登るのがやっぱり楽しい」と元気いっぱいに語った。

[朝鮮新報 2009.10.7]