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〈インターハイ競泳〉 京都中高 蔡知怜選手 200メートル平泳ぎ 7位で有終の美

 「全国」高等学校総合体育大会(インターハイ)の水泳競技大会が8月17〜20日に大阪府で行われた。

 京都朝鮮中高級学校の蔡知怜選手(高3)が出場し、17日の競泳女子200メートル平泳ぎ決勝で2分30秒27を記録、7位入賞を果たした(優勝選手の記録は2分26秒37)。

 20日の女子100メートル平泳ぎでも健闘したが1分10秒98で予選14位となった(優勝選手の記録は1分7秒71)。

 京都朝鮮中高級学校の蔡知怜選手(高3)が大阪府立門真スポーツセンター(なみはやドーム)で行われた「全国」高等学校総合体育大会(インターハイ)の水泳競技大会(8月17〜20日)に3年連続で出場し、競泳200メートル平泳ぎ決勝で自己最高の7位となった。100メートル平泳ぎは14位で決勝進出を逃した。

200、100ともに自己新

 17日の200メートル平泳ぎ予選では、自己ベストの2分30秒27をマーク。インターハイの200メートルでベストタイムを出すのは初めてで、89人中7位となり、昨年に続き、2度目の決勝進出を果たした。

 決勝では、序盤にやや遅れたが、後半に追い上げ、予選と同タイムで7位入賞を果たした。

 練習で左股関節に違和感を覚え、万全な状態ではなかった。予選、決勝は同タイムだったが、決勝後半の100メートルは予選よりも約0.3秒早いスピードで追い上げ、粘り強さを見せた。目標だった2分30秒切りと6位進出にはとどかなかったが、「力を出し切った」と蔡選手は後悔のない表情だった。

 一方、100メートル平泳ぎ予選のタイムは1分10秒98。手でかく回転数を上げ自己ベストを記録したが、90人中14位で決勝進出を逃した。

 中級部2年のころから指導にあたる升田哲雄コーチによると、蔡選手は最近、上下の動きを抑え手を止めずに前へ進む泳法に変え、タイムを2秒ほど縮めた。「高い技術を持っている。メンタル面でまだまだ課題があるが、フィジカル面での鍛錬を積めば、タイムは伸びていくだろう」と升田コーチは語った。

 また、国体京都府代表のコーチを務める渡辺隆・洛南高校水泳部顧問は、「やっとタイムが上がってきた。本人はあまり自信がないだろうが、どんどん上を目指せる選手だ」と話していた。

孤独に負けなかった心

 「完璧にしなきゃすまないタイプ」―オモニの李行美さん(46)は、蔡選手についてこう話す。試合でタイムを上げようと体調管理を自らする蔡選手の姿を傍らで見てきた。試合前の節制はとくに徹底しているようだ。

 蔡選手は高級部に進学するとき、水泳部のある日本の高校ではなく、ウリハッキョに行って水泳を続けたいと言ったという。学校生活もこなし、朝晩スイミングスクールに通う生活は、肉体ばかりか精神的にもきつい。そして、孤独との闘いでもあった。

 李さんは、試合会場には欠かさず足を運んできた。「『京都朝鮮』と放送されると、だれかになにかを言われないかと心配だったときもある。『チェ・チリョン』と放送されると、最初はシーンとなっていたから。今では、横断幕を作ってくれる同胞や寄せ書きを渡してくれる朝高の同窓生、京都の水泳関係者も声援してくれる」と感慨深げだ。

 技術指導はできないが、監督として蔡選手を陰ながら支えてきた京都中高の姜世哲教員は、「水泳では結果を残し、学校の行事や勉強にもしっかりと力を注いでいた」と目を細める。

 蔡選手と同じスイミングスクールに小学校のときから通う高瀬珠未さん(高3)は、「スクールの幼い子にフォームをやさしく教えるタイプ。気が強いけど、練習熱心でタイムも出せる選手」と笑顔で語った。

「いつかは後輩と」

 5歳から水泳を始めた蔡選手は、京都第2初級から京都中高時代にかけてインターハイをはじめとする「全国」大会に数多く出場し、朝鮮学校の名をとどろかせてきた。常にタイムを上げることを目標に、厳しい練習にも耐え、京都府を代表する平泳ぎの選手に成長した。

 つらい経験もたくさんしてきたが、京都中高の同窓生や同胞の応援に支えられてきた。

 現在も週に4回の朝練習、日曜日以外の午後練習と励んでいる。「もっと上に行きたいから。だから節制もする」。

 蔡選手は、競泳を志す朝鮮学校の生徒がもっと増えればいいと、願っている。

 「私ができることと言えば、教えることぐらいだけど、選手育成とかじゃなくて、いつか朝鮮学校の後輩と水泳を楽しみたい。ウリハッキョにもプールを作ってみたい。これから、ゆっくり考えたい」

 自身の記録と向き合い、練習に打ち込んできた蔡知怜選手の、うれし涙を見られる日は、そう遠くないだろう。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2009.8.26]