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W杯出場は努力の産物 元朝鮮代表FW パク・トゥイクさんに聞く

 【平壌発=金志永記者】1966年、サッカーのW杯イングランド大会で優勝候補イタリアを破る値千金のゴールを決め、朝鮮をアジア初のベスト8に導いた元代表FWのパク・トゥイクさん(73)。今回のアジア最終予選突破は「頭脳戦の勝利」だと語る。



W杯出場の要因について語るパク・トゥイクさん

 朝鮮は過去にも最終予選を戦ったことがある。しかし、最終の段階で脱落するという経験を繰り返してきた。国内のサッカー関係者らは最近、チームの欠点−得点力不足と失点の原因を集中的に分析したという。パク・トゥイクさんも知恵を絞ったひとりだ。

 「今回の予選では、キム・ジョンフン監督が過去を教訓に正しい作戦を立てた。朝鮮は相手よりも精神力で勝っており、フィジカル面も劣っていない。技術的に五分五分なら、相手をしっかりと研究して、それに合った戦術を立てれば、勝てる」

 パクさんは、1969年から1989年まで代表監督の重責を担った。後輩監督の「頭脳戦」への評価は整然としている。

 「サッカーの原理は、防御するときは全員で防御し、攻撃するときは全員で攻撃することだが、対戦相手によって戦術は変わる。防御重視の試合もあれば攻撃重視の試合もある。予選ではキム監督の採った戦術が的確だった」

 実例として、平壌で行われたイラン戦(6月6日)を挙げた。序盤はイランがボール支配率などで優っていたが、キム監督が前半終了間際に総攻撃を指示。MFを中心に全員が攻撃に参加し、後半は朝鮮が完全に相手を圧倒した。

 一方、パクさんは在日同胞選手の活躍にも注目している。「鄭大世のような選手はとても珍しい。彼の存在感は相手チームの脅威だ。安英学選手は防御と攻撃の要で、彼がいなかったら攻撃を組み立てられるか不安だ。相手の攻撃を防ぐのもうまい。2人の在日同胞選手が重要な役割を果たし、予選を突破したというのが率直な心情だ」と語る。

 また、「選手たちの精神力は、60年代も現在も変わらない。闘志が実を結ぶかは監督の采配にかかっている。われわれがW杯に出場したときは、相手チームの情報がないまま自分たちの戦術のみで臨んでいた。まずは相手チームの特徴を知ったうえで相手を呑みこむような妙案を探さなければならない」と指摘する。

 2010年W杯本大会の課題として、当たり負けしないことやハイボールの処理などをあげる。欧州、アフリカ、南米の選手らは朝鮮の選手よりも体格に優れているためだ。

 朝鮮サッカーの輝かしい前進は、選手養成とともに「頭脳戦」で勝つために傾けてきた努力の産物だという。科学と知識を重視する気風を立て、監督、コーチ陣への理論、実技講習も重ねてきた。パクさんはそのような取り組みの必要性を誰よりも感じてきた。

 もし、44年前に戻って現在の代表チームに召集されたとして、はたして活躍できるだろうか。

 往年の名選手はこのように答えた。

 「もちろんあのときよりももっとうまくプレーできる自信はある。私が今の若い選手たちとプレーできるなら、ベスト8よりもさらに高い成績を収めたい」

[朝鮮新報 2009.7.15]