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〈2010年W杯アジア地区最終予選〉 キム監督「強い精神力で勝利」

5万人の観衆が熱狂

 【平壌発=呉陽希記者】FIFA2010年W杯南アフリカ大会出場のためのアジア地区最終予選、朝鮮対アラブ首長国連邦(UAE)の試合が3月28日、平壌の金日成競技場で行われた。朝鮮はこの日、UAEを2−0で下した。観戦した国内のサッカー関係者たちは、市民に喜びを与えてくれたこの日の結果は、「勝利に対する朝鮮の執念」がもたらしたものだと指摘した。

最前線でチームを引っ張った鄭大世選手

 会場となった金日成競技場は、愛好家と市民ら5万人で埋め尽くされた。

 試合には、これまでの予選で活躍し朝鮮の人々から格別に愛されている安英学、鄭大世選手も出場した。午後3時30分のキックオフと共に、朝鮮はホン・ヨンジョ、鄭大世選手を中心にUAEのゴールをたびたび脅かす展開。前半は中盤を支配した朝鮮が有利に試合を進め、7分、15分、29分、38分、42分に得点のチャンスを得るも、惜しくもゴールにはいたらなかった。

 朝鮮は後半に入っても試合の主導権を握り、6分、ディフェンダーのチャ・ジョンヒョク選手が右サイドからオーバーラップしパク・ナムチョル選手の足元に低いボールを出した。 パク・ナムチョル選手はワントラップして相手ディフェンダーをかわし、ゴール20メートル手前からシュート。ゴール右端に突き刺さり先制点を奪った。

 朝鮮はその後も攻撃の手を緩めることなく優勢に試合を進め、ロスタイムにはディフェンダーのチ・ユンナム選手が左サイドからオーバーラップして出したボールにミッドフィルダーのムン・イングク選手が合わせ2点目を入れた。

 この日、試合に先立って行われた記者会見で、UAEのドミニク・バテネイ監督(55)は、現在グループ内で好成績を収めている朝鮮との試合はとても厳しいものになると語っていた。

 一方、朝鮮のキム・ジョンフン監督(53)は、相手がどのように出てこようとも自分たちのスタイル、戦法をいかし、得点に有利な環境を作っていくと自信をのぞかせていた。

 試合終了後の記者会見でキム・ジョンフン監督は、「双方とも実力を発揮した。UAEも他チーム同様、個人の技術が高いチーム。しかし、朝鮮の選手は必ず勝たなければならないという強い精神力で臨み勝利することができた」と述べながら、「残りの3試合はすべて強豪なので準備に最善を尽くし、人民の期待に応えたい」と力強く語った。

 アジア地区最終予選では、10カ国がグループA、Bの5チームずつに分かれて競技を行っている。グループBに属している朝鮮は3月30日現在、3勝1分1敗で勝ち点10、暫定1位の座を占めている。

 この日の試合は、W杯本選出場を願う平壌の民心に大きな活力を与えた。

 昨年9月からアジア地区最終予選に臨んでいる朝鮮にとって、今回は5試合目となる。今年2月、サウジアラビアを1−0で下した朝鮮は4戦2勝1分1敗(勝ち点7)の成績でUAEと対戦した。

 試合を観戦した市民たちは、現在のナショナルチームの選手たちが、1966年のW杯で8強入りし「サッカー神話」を創った先輩の精神を受け継ぎ40余年ぶりの本選出場を果たすだろうと口を揃えた。

 平壌化粧品工場で働くキム・チュンサムさん(50)は、「朝鮮チームの精神力、団結力、闘志は他チームと比べ物にならないほど強い。今日の試合でもその良さがいかんなく発揮された」と語った。

 2−0で朝鮮が勝利を収めると、観衆たちはいっせいに立ち上がり選手の健闘を称えて大きな拍手を送った。そんな中でも、スポーツマンたちの感激はひとしおだった。

 月尾島体育団のホン・ミョンギさん(19)は、「すべての国民が見守る中、勝利した選手たちは本当にすごい。同じスポーツマンとして誇りに思う」と述べた。

 朝鮮が勝利を収めたこの日、平壌市内は熱狂のるつぼと化した。試合後、選手たちの乗ったバスが競技場を後にすると、道を行く多くの車がクラクションを長く鳴らしながら、彼らの勝利を祝福した。

[朝鮮新報 2009.4.1]