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〈こどもの本だな〉 わくわく、感動、本を読もう!

創作童話、青春小説など

 寒〜い冬。

 年末年始は、日頃外で元気に遊んでいる子どもたちも、家の中で過ごすことが多くなりがち。

 今回紹介するのは、古くから人々に親しまれてきた代表的な朝鮮の昔話(CD付)と、朝・日友好の象徴であった朝鮮通信使、母親を亡くした男の子を描いた現代創作児童文学、ハチャメチャな女子高校生の姿を綴った青春小説の4冊。

 ここで紹介する本は、一般書店のほか、コリアブックセンターでも注文できる。

 問い合わせ=コリアブックセンター(TEL 03・6820・0111、FAX 03・3813・7522、Eメール=order@krbook.net)。

韓国の昔話(CD付)−やさしい言葉と簡単な物語

白帝社、TEL 03・3986・3271、1400円+税

 本書は、朝鮮で親しまれている代表的な昔話15編を、善悪編・義理編・恩恵編・運命編・知恵編の5つのテーマ別に各3編ずつまとめたもの。

 収録されているはなしは、「仲よしの兄弟」「フンブとノルブ」(義理編)、「若返りの泉」「沈清物語」(恩恵編)、「天女ときこり」「王様の耳はロバの耳」(運命編)、「三年峠」「トラと干し柿」(知恵編)など、どれも人々の間で広く語り継がれたり、教科書に載っていたりするものばかり。

 本書は、日本語を母語とする朝鮮語学習者のための教材としての特徴も兼ねそろえている。左のページには朝鮮語の文、右のページには対訳の日本語の文とともにポイントとなる単語や慣用的な語句の説明が施されている。

 付録のCDには、ネイティブスピーカーによるノーマルなスピードの朝鮮語が吹き込まれている。

 やさしい言葉の繰り返しと簡潔なストーリーは、低学年の児童への読み聞かせにも向いている。

 朝鮮語を読むなら初級部3年生くらいから。日本語訳の漢字にふりがながないため、日本語文を読むなら高学年以上。

朝鮮通信使がやってくる−平和な時代に迎えた異国の使者

理論社、TEL 03・3203・5791、1200円+税

 江戸時代、日本が国と国とのつき合いをもったただひとつの国、朝鮮。

 本書によると、通信使と呼ばれる朝鮮の国王の使者は、ただの連絡係や便りを届ける人という意味ではなく、国同士が互いに信義を守り、平和な交流を築いていくために交わす国王の手紙−国書を取り交わす大切な役目を持った使節である。

 漢城(今のソウル)を出発して、釜山から対馬、玄界灘を渡り、瀬戸内海から大坂(大阪)に上陸。淀川をさかのぼって京都に向かった通信使。琵琶湖のほとりには、彼らが通った道が朝鮮人街道と名づけられ、今に伝えられている。「なにしろ、見たこともない服装に身を包んだ異国の人々が、にぎやかな音楽を奏でながら行列を組んで進むのだから、評判をよばないはずがない」「ことに宿場に入ると、もう道路があふれんばかりの人垣ができている。親せきや知り合いの家をたよって、泊りがけで見物にやってきたものも少なくない」。

 長い戦国時代が終わったからこそ迎えられた異国の使者。本書は、「朝鮮通信使」のルーツや12回にわたる訪問、外交を担当した対馬藩の雨森芳洲などを紹介している。

おり姫の日記帳−はみ出し女子高生の青春

現文メディア、TEL 03・6413・7691、1400円+税

 主人公のチンニョ(朝鮮語で「おり姫」)は、生活指導の先生から目をつけられているおちこぼれ女子高生。

 本書はこのチンニョが高校生活を通して、悪の女友だちとの友情を深めつつ、ピザ屋でのアルバイトや孤児院への奉仕活動を経験し、家出をしたり、万引きに巻き込まれたり、はては人気アイドルの旧友としてテレビ出演まで経験しながら、たくましく成長していく姿を日記風につづっている。

 彼女の夢は、全国各地に数百台のジュースの自動販売機を置くこと。そして順番に都市を回りながら、お金を回収していく。喉が渇いたら、サイダーを抜き取って飲みながら…。

 修学旅行や家族旅行、新たな進路に向けた高校生の精神的成長を描く場面もある。

 本書の帯には、「ついに日本上陸! 女子高校生版『猟奇的な彼女』」とあるが、彼女のハチャメチャなはみ出しっぷりは、読者をわくわくさせてくれる。

 作者は、幼少期からいくつもの文学賞を総なめにしてきた、1986年生まれの南朝鮮の新人女性作家。

 本書は南朝鮮の第2回世界青少年文学賞受賞作に選ばれた。

ぼくの名前はへんてこりん−自分らしく、元気に生きる

現文メディア、TEL 03・6413・7691、1200円+税

 お父さんが「自分らしく(ナ・ダプケ)」生きてほしいと思ってつけた、へんてこりんな名前「ナ・ダプケ」。

 幼くしてお母さんを亡くしたダプケは、お母さんの顔すら覚えていない。けれども、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、そしておばさん一家の愛に育まれながら、一生懸命生きていく。

 ある時ダプケは、いたずらのつもりで安全ピンを二つ出し、それを釣り糸で結びつけると、一つはいとこのお兄さんが座っている座布団に、残りの一つはお兄さんがはいている体育のズボンにつけた。そして、「おばあさんが呼んでるよ」とうそをついた。立ち上がった拍子に半ズボンが脱げ、ズボンが破れたお兄さんは、とたんにおばさんを呼んで告げ口をはじめた。「お母さんどうにかしてよ。お母さんの部屋へ行くよ」…。お母さんに甘えるお兄さんの言葉を心の中で真似ていると、ダプケは知らないうちに涙が出てきた。

 けんかをしたり、山で迷子になったり。時おり、お母さんが恋しくなって、涙ぐむことがあっても、ダプケはけなげに自分らしく、元気よく生きていく。物語にあわせて描かれた挿絵が、作品をいっそう明るくしてくれている。

[朝鮮新報 2009.12.25]