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〈徐千夏先生の保健だより-12月-〉 「子どもたちの癒しの場」

 「保健室は癒しの場だ」「ずっとここにいたい…」

 と言いながら保健室のソファーに、どかっと腰掛ける子どもたち。

 保健室は子どもたちの休憩の場所となっています。大人がほっと一息つくのにコーヒーを飲むように、子どもたちも保健室に立ち寄りほっと一息ついて教室に戻る…。

 そんな空間がハッキョにあります。

 他にも集中してパズルをしたり、静かに座って折り紙をし、絵を描く子どもたち。

 また、勉強道具を持ちこんでテストの予習をしにやってくる子どもたちもいます。

 やはり一番お気に入りの場所は保健室のすぐ入り口に置いてあるソファーでしょうか。入り口においてあるせいか、ちょこっと入ってきては両手を伸ばし大きい口を開いてあくびをしたり、女子生徒数人が座って談笑したりと、ただ座っているだけでエネルギー補給ができるようです。

 時間が来るとスッと立ち上がって「先生じゃ行きます!」と、スイッチを上手に切り替え教室へ戻って行きます。

 保健室という場所と、ソファーというアイテムがしっかり子どもたちをサポートしてくれているようです。

 ウリハッキョの子どもたちの特徴はどちらかというと、しんどいと正直に言える子は少ないようです。家でも学校でも優等生で、親や先生の期待を背負ってがんばっている子どもたちが多いように感じます。そしてがんばりすぎて息切れを起こすパターンが大多数でしょうか。学校では先生が評価をするので、弱音は吐けません。家でも、親ががんばって一生懸命働いてくれているのにワガママは言えません。子ども自身も向上心があるのでがんばりたいという意欲もあります。しかしながらエネルギー切れを起こす時があります。

 ということで保健室でただボーッと座っているだけの子もいます。

 「教室にいると、がんばらないといけないのでしんどい…」

 「ここだったら、何も考えなくてもいい…」「誰かの視線を感じることもない…」などと無の境地に浸っています。私はただ見守るだけにしています。

 あまりがんばりすぎないでと呼びかけもします。

 向上心がありすぎて、自分の目標到達点をとても高く設定してしまって、それを達成できない自分に嫌悪感を抱く生徒もいます。そして最終的に自分を責めてしまっています。

 ウリハッキョの生徒は真面目なんです。

 私ができることは一緒にストレス発散方法を探すことです。何をしている時が一番心地よいのか一緒に考えていきます。

 では、今日家に帰ってやってみたらとアドバイスします。それだけです。

 悩みの根本は生徒自身が解決するものなので、話は聞きますが解決策を見出すのは生徒自身でなくてはなりません。「ああしなさい」「こうしなさい」などの命令調は口にしません。

 「どうしたらよかった?」「こうだったらどんな気分だった?」など色んなシュミレーションを立てます。

 そうすると子どもたちは自分で答えを見つけ出します。答えをみつけたら行動に出るのは早いです。

 最近、保健室ができて、無理をしなくなる子どもたちをチラホラ見かけるようになりました。体温計片手に毎時間計測に来ては、自分の体調と向き合って、自分の体を知り「今日はクラブやめておく」と自分で判断できるようにもなってきています。

 無理をしてがんばるということより、調子や限度を自分で判断できることも大切なことだと思うのです。

[朝鮮新報 2009.12.16]