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紅葉の秋、朝大歴史博物館をめぐる 東京・杉並区「ソナム会」歴史探訪

いきいき長生き楽しもう

 秋も一段と深まり、はらはらと舞い散る木の葉が柔らかな日差しを受けて輝く20日、朝鮮大学校歴史博物館(東京・小平市)と金剛山歌劇団(同上)を巡る、東京・中杉支部「ソナム(松の木)会」(朱泳植会長)の歴史探訪が行われた。ソナム会は今年5月、同支部傘下の65歳以上の同胞たちが、長い人生を健康で生きがいを持って楽しめるようにと結成された。これまで月1回のペースで、旅行やカラオケ、囲碁、書芸などを楽しんできた。今回は、「朝鮮の歴史を学ぼう」と民族教育の最高学府である朝鮮大学校で歴史の勉強をし、その後近隣の金剛山歌劇団を見学することになった。(朱会長)

熱心な学習態度

熱心にメモをとる参加者も

 午前11時。朝大校門にはソナム会を中心に台東、荒川支部の同胞たちを含む男女24人が集まった。前日とは打って変わっての晴天に喜ぶ参加者たち。一行は、構内を縫って図書館脇にそびえたつ広開土王陵碑(原寸大複製、約6メートル)に案内された。

 碑は、高句麗史上屈指の王といわれる広開土王(談徳)の業績を称え、子の長寿王(l)が414年に建てたものだ。参加者たちは早くもカメラを取り出して、熱心にその姿を写真に収めていた。

 記念館に入ると、教育学部・金世正学部長が一行を温かく迎え入れた。

 「この建物は、本校創立25周年を記念して建てられた。祖国から贈られた貴重な品々を展示しており、1階は自然博物館、2階が歴史博物館となっている。入り口を飾る高句麗古墳壁画(模写、「狩猟図」)は、祖国の人民芸術家、功勲芸術家が描いたものだ。館内の壁画(模写)はソウルや大邱、釜山で開催された高句麗壁画展に貸し出したこともある。隣接する武蔵野美術大学の教授も模写の素晴らしさに驚いていた」と話した。

 朝鮮史の年表にはじまり、古代から三国時代、朝鮮王朝時代の展示物をくまなく見て回った参加者たちは、教授の説明に耳を傾け、展示物を凝視し、熱心にメモを取っていた。中には手を上げて、質問する参加者も。

広開土王陵碑(レプリカ)の前で

 −安鶴宮は再建される予定があるのか。

 「現在、発掘作業が終わり、中宮を復旧して中央博物館に移そうとの計画がある」

 −李成桂が「威化島回軍」によって高麗の王権を奪ったため、クーデターを恐れて朝鮮王朝は軍を強化しなかったと言われるが。

 「朝鮮時代初期には国防強化に力を注いだが、16世紀になると、その体制は弛緩していった…」

 同博物館には通年、各地の初・中・高級部生たちが訪れる。また、同大学園祭の際には一般公開もされる。しかし「近年、同胞たちの見学ツアーは聞いたことがない」と金教授は言う。そして、「皆さんの関心がとても高く、知識が豊富なことに驚いた。1世の中には思い通りに学べなかった人もいると思う。その分、歴史を学ぼうとの意欲が高いようだ。熱心な学習態度は見習う必要がある」と襟を正した。

金剛山歌劇団へ

参加者たち全員で記念撮影

 朝大を後にした一行は、玉川上水緑道(通称ロマンス通り)を抜けて、金剛山歌劇団へと足を運んだ。緑道には黄色く色づいたイヌシデ、コナラ、クヌギ、ケヤキなどが生い茂っている。女性たちは、「作家の太宰治がこの上水に身を投げたのよね」などとおしゃべりしながら足を運んだ。

 歌劇団では、97年に新築された建物の内部と貴重な全国ツアーの足となっている大型バスの内部を見学した。

 ゆったりとした座席に座ってみる参加者たち。「バスでの長旅はさぞ大変だろう」「運転も団長や団員たちが交替でするなんて知らなかった」「バスの中に衣装がかけられるよう工夫されている」などと話していた。

 その後は、大練習場で小公演を観覧した。美しい歌声と演奏、華麗な舞に参加者たちは大きな拍手を送っていた。

参加者たちの声

 参加者のうち最高齢の梁応錫さん(85)は、「これまで何度か朝大を訪れたことがあるが、以前に比べ設備が拡張され、学生たちが学びやすい環境が整ったようだ。今日は天候にも恵まれ、大変よい勉強になった」と語った。また、78歳のある女性は「娘が朝大を卒業して35年。記念館にあれほどのすばらしい展示品が置かれているとは知らなかった。歌劇団の公演も、舞台の上とはまた違う感動を覚えた」と満足そうな笑顔を見せた。

 朱会長は、「今日はとても意義深い一日だった。皆さんが長生きを喜び、楽しめる企画をこれからもどんどん催していきたい」と意欲を語った。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2009.11.25]