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朝鮮芸術に新たな潮流 舞台、音楽など話題の作品続々

 朝鮮の音楽、芸術分野で新たな潮流が生まれている。演劇、歌劇などの舞台芸術では過去、国内で人気を博した外国作品のリメイク版の上演が相次ぎ、音楽では新ジャンルが開拓されている。これらの多くが金正日総書記の指導によるものだ。

半世紀ぶりの再演相次ぐ

歌劇「紅楼夢」(盧琴順記者撮影)

 1960年代に初演された歌劇「紅楼夢」が今年、リメイク上演された。中国文学の巨匠、曹雪芹の同名小説を舞台化したもので、脚本をチョ・リョンチュル、作曲をリ・ミョンサン氏が手がけた。

 朝鮮の歌劇界では70年代以降、「花を売る乙女」など5大革命歌劇が主となり同作品が上演される機会はなかった。

 リメイク版の上演は金正日総書記の発議によるものだという。総書記は昨年4月、かつて朝鮮で上演された外国歌劇や演劇の再演を提起した。その対象に「紅楼夢」も含まれた。

 60年代は、パンソリの唱法を基本にした伝統歌劇である「唱劇」方式で上演されたが、リメイク版は「ピパダ式」歌劇の創作法に基づいている。

演劇「ネオンの下の哨兵」(盧琴順記者撮影)

 「ピパダ式」歌劇とは、節歌化された歌と傍唱を取り入れ、民族楽器と洋楽器による配合管弦楽と舞踊、朝鮮画に基づいた舞台美術を導入した新形式の舞台で、70年代に「ピパダ」「花を売る乙女」など5大革命歌劇とされる創作が活発に行われ確立された朝鮮オリジナルの創作法だ。

 リメイクされた「紅楼夢」は6章12場、全2時間30分の作品となった。とくに朝中国交樹立60周年にあたる今年、同作品の再演に両国の関心が寄せられた。中国側は出演者の衣装と小道具を無償提供した。また、振付などは中国側と共同で行われた。

 一方、金元均名称平壌音楽大学ではロシア歌劇「エフゲニー・オネーギン」のリメイクに取り組んでいる。58年の上演以来、51年ぶりの再演だ。総書記は今年6月に創作過程を指導し、その際、「世界に向けて堂々と前進している朝鮮人民は世界の文化についてもよりよく知るべきだ」(6月7日発朝鮮中央通信)と指摘した。

 演劇部門では、「ネオンの下の哨兵」が63年以来、46年ぶりに上演された。この作品は中国建国後(49年10月1日)に初めて創作された長幕劇だ。かつて、朝鮮の演劇「赤い扇動員」との交換作品に指定され北京、平壌でそれぞれ上演された。

注目の新グループ

銀河水管弦楽団、万寿台芸術団、三池淵楽団による10月音楽会 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 舞台でリメイクブームが起きる一方、音楽分野では新たな試みが相次いでいる。

 今年4月、万寿台芸術団の新グループ三池淵楽団がデビューした。クラシックを気軽に楽しめるようメロディーや音色にさまざまなアレンジを加えた演奏が話題を呼んでいる。

 「クラシックをベースにした新ジャンルの音楽を追求している」と、三池淵楽団責任者でバイオリニストのリ・スネさん(46)は話す。

 普天堡電子楽団や旺載山軽音楽団のようなポップスや、万寿台芸術団の女性器楽重奏グループのようなクラシックと完全に区別されるものとして参考にしたのが、オランダ出身の指揮者でありバイオリニストのアンドレ・リュウと彼の率いるヨハン・シュトラウス・オーケストラだという。

 デビューに向けた準備は07年7月から始まった。同年11月に総書記から、楽団の方向性に関する具体的な指導を受けた。以降、今年の4月まで7度にわたる指導があり、なかには深夜に地方の視察先から直接赴いたこともあったという。

 楽団の人数は50余人、平均年齢は20代前半と若い。リさんがバイオリンを弾きながら楽団の指揮をとる。また、演奏家たちが演奏途中に手拍子を打ち、観客に拍手を求めるといったパフォーマンス性も備えており、注目グループとして市民たちの期待が高まっている。

 そのような中、党創立記念日(10月10日)に際して銀河水管弦楽団、万寿台芸術団、三池淵楽団が出演した合同慶祝公演は音楽分野の新潮流を凝縮していた。

 10日発朝鮮中央通信によると、合同慶祝公演を鑑賞した総書記は、「最上級のりっぱな公演を行ったことに大満足」を示し、出演者らに朝鮮労働党総書記、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官の名義で「最高の特別感謝」を贈った。

 公演では、混声合唱「党の旗印に従い」、室内楽合奏「青年よ支えようわが党を」(銀河水管弦楽団)、「大同江の日の出」(三池淵楽団)をはじめ、朝鮮歌謡をジャズ風にアレンジしたサックス6重奏(銀河水管弦楽団)や、第13回ジュゼッペ・ディ・ステファノ国際声楽コンクール(06年、イタリア)で最優秀賞を受賞したファン・ウンミさんなど新進気鋭の歌手らによる多彩な演目が披露された。

 銀河水管弦楽団は今年9月、朝鮮の芸術団とロシアの21世紀管弦楽団、ユルロフ記念国立アカデミー合唱団の合同公演で初めて登場した楽団だ。

公演活動の活性化を

 国内の芸術関係者らは現在の流れについて、朝鮮の芸術水準を再確認し、公演活動の活性化を促すものになると指摘する。

 実際に近年、国内の芸術団体の新たな作品創作と並行して、劇場の改修や建設にも国家的な関心が注がれている。今年だけでも、赤星劇場(平壌)、平壌大劇場、葛麻劇場(元山市)、黄海北道芸術劇場などが完成した。

 現在、平壌大劇場で上演されている「紅楼夢」や三池淵楽団の公演に観客が殺到しているという。

 このような現象について関係者らは、90年代、普天堡電子楽団や旺載山軽音楽団が旋風を巻き起こしたことによって大衆の文化水準が一躍高まった時のように、新たな文化生活が社会に広く浸透していくことに期待を寄せている。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2009.10.21]