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くらしの周辺−秋の大運動会

 埼玉に越してきて2度目の運動会に顔を出してみた。当日は朝から雲一つない真夏日を彷彿させるような天候だった。

 娘たちが通う埼玉初中の運動場はすでに大勢の人でごった返していた。わけもなく喜び駆け回る低学年児、競技の練習に余念のない高学年児、道具運びやライン引きなど黙々と分担された仕事をこなす中級部など。各人各様だが、その表情には本番に向けての一心が覗えた。そういえば去年は、転校して間もない娘たちが、どう自分の居場所を確保しているかが私の最大の懸案事項だった。ちゃんと学校にも慣れみんなと仲良くしているのか、それをこの眼で確認するための運動会だったような気がする。競技を楽しむ余裕すらなかったようだ。

 あれから一年。自責の念をしっかり拭おうと必死にグラウンドに視線を伸ばして見た。見れば見るほどたくさんの発見や感動が私を待ち構えていた。

 先生の指示を守って懸命に動作する1年生。全力で挑む男子の力強さや躍動感、面映さの中にもひたむきな女子の懸命さ。わんぱく盛りの児童を見事に牽引する上級生のたくましさも随所に見ることができた。

 競技はよく洗練されたものばかりで、先生たちの日頃の苦労が窺えた。中でも圧巻だったのは「借り人」競走だ。老いも若きも関係なかった。みながみな、生徒たちのために競技にこぞって出ている、まさに戦闘状態だった。このような保護者たちがいるからこそ、民族学校はしっかりと地域に根ざすことができるのであろう。

 教職員・子ども・保護者が一体となったこの学校に娘を転入させてとても楽観している。(李圭学、教員)

[朝鮮新報 2009.10.16]