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〈みんなの健康Q&A〉 ツボ(経絡)−症状と治療法

 Q:東洋医学と西洋医学の違いは何ですか。

 A:南の人気ドラマ「許浚」や「李済馬」などにより、東洋医学(高麗医学・韓医学・中医学など)が見直されています。日本では漢方医学といいますが、明治以前はこの漢方医学が主流を占めていました。18世紀にオランダ医学が初めて日本に紹介され、1823年、かの有名なシーボルトの来日をきっかけに、西洋医学の受容が始まりました。ここで蘭方医の流派が派生することになります。さらに、明治政府が誕生すると、西洋医学の採用を布告し、それまでの漢方医学の排斥が始まりました。

 東西の医学の最大の違いは、「病気」に対する考え方です。西洋医学では、身体の壊れたパーツを取り除く、修理することに主眼を置き、東洋医学(漢方医学)では、病気の原因を体内の気血(エネルギー)のバランスのくずれと考え、その状態を整えることに主眼を置くのです。ちなみに中国・北南朝鮮などでは、伝統医学を堅守したために、今でも脈々と発展を遂げています。

 Q:東洋医学の特徴は何ですか

 A:漢方医学というと、漢方薬だけをイメージしがちです。しかし、病気の弁証(考え方)は一緒で、それに基づく治療の方法論の違い、湯液(漢方薬)・針灸・あんま・導引(運動療法)・食事療法すべてを含めて漢方医学といいます。したがって、厳密に言えば、西洋医学の診断に基づいて、漢方薬や針灸などを受けることは、漢方医学とは言えないのです。身体の全体的な漢方診断により、正確な漢方治療を受けられることをお勧めしたいのです。つまり、腰が痛ければ腰だけ、肩がこれば肩だけを治療するのは、適切な治療ではありません。

 Q:ツボとはなんでしょうか。

 A:1961年平壌大学のキム・ボンハン教授による学説で、ツボが科学的に実証されたとの発表により、針灸界に大センセーショナルを起こしたことを記憶されているでしょうか。しかし、再現性に欠け、その後の追試発表がなされないうちに、下火になってしまいました。

 では、ツボとはなんでしょうか。

 簡単に説明すると、体内の五臓六腑と連結し、その影響が体表に現れる場所がツボなのです。つまり、診断点でもあれば治療点でもあるのです。そのツボには、気血が流れています。実験をして見ましょう。足のすねの外側に足三里(図参照)というツボがあります。ここを、親指か人差し指で数分指圧してみましょう。お腹がゴロゴロと鳴って、腸が動き出すのがわかります。つまり、足三里穴は胃腸に関係の深いツボなのです。したがって、針灸は肩こりや腰痛などの、運動器の症状だけが注目されていますが、実際には、内科の症状にも非常に有効なのです。

 Q:針灸治療の特徴はどんなことでしょうか。

 A:針灸治療の診断学は、四診(問診=患者に病状などを聴く、望診=患部の状態や舌の状態を観察する、聞診=患者の音声を聞いたり、排泄物の臭いを嗅ぐ、切診=身体に触れたり、脈を観る)によります。身体の全体的な情報を集めて、不具合の状態を把握し正常に戻すために、ツボに刺激を与えて治療するのです。

 Q:ツボに対する刺激の方法にはどのようなものがありますか。

 A:われわれは、針や灸や指圧などにより、独特の刺激方法によりツボを操作しています。一般の方でも、指先や爪楊枝やブラシ、簡単灸(せんねん灸など)や唐辛子の種、ドライヤー、シャワー、使い捨てカイロなどを用いて上手に刺激すれば、同じような効果が見られます。大切なことは、自分に合った刺激の量と、効果的なツボを探すことです。

 Q:ツボはどのように見つけるのですか。

 A:ツボは針先などの点しかないと理解している方がいますが、実際は百円硬貨ほどの大きさがあると考えましょう。ツボの押し方や角度を変えて探せば、必ず見つけられます。ツボの説明で、だいたいの場所を把握したら、押してグリグリしている・ズシンとひびく・気持ちが良い・皮膚がザラザラしているなどを目安に見つけます。

 Q:ツボ療法の注意事項はどんなことですか。

 A:刺激療法ですので、やはり適度な刺激に限ります。やればやるだけ効果が出るものではないことだけは理解してください。とくに注意することとしては、お酒を飲んでいるとき、高熱を出しているとき、とても空腹のとき、とても身体が弱っているときはツボ療法は行わないでください。ツボ療法の刺激時間はあくまで目安です。人によっては2〜3分で効果が出ることもあります。各症状が楽になったり、心地よい疲労感が出て、身体が温かくなってくれば効果的です。ムダに長く刺激することだけは避けてください。また、入浴の前後1時間は、ツボ療法をしないでください。のぼせます(李昇昊、うえの針灸整骨院、東京都台東区東上野 1−18−10、TEL 03・3832・6880)。

[朝鮮新報 2009.10.14]