〈徐千夏先生の保健だより-10月-〉 子どもの耐性と大衆性を育てよう |
イギリスの小児科医イリングワースは「しつけをしないことは子どもにとって有害であり、子どもを甘やかす≠アとになる。その結果、甘やかされた情緒不安定な子どもができあがる」「しつけを行っておかないと、非行、事故誘発性、他の望ましくない行動へと導く重大な結果になりかねない」と述べています。 不登校、いじめ、非行、学級崩壊、キレる子どもたちなどさまざまな問題行動がウリハッキョでも起こっています。これは学校に要因があるというよりも、むしろ子ども自身の耐性の未発達が重要な要因ではないかととらえる学者もいます。 耐性とは「欲求が阻止されても、不適当な行動に訴えたりせず、それに耐えて適応していくことのできる心の能力」と定義されており、「心の免疫体」「心のブレーキ」「心の抵抗力」と言い換えることができます。 とくに、幼児期における親の養育態度が耐性形成を左右していると推論されています。 学校という場は勉強する場ですが、常に集団行動であり人間関係作りの基礎を身につけていく場でもあると思います。 また学校では、先生や同級生、上級生、下級生…あらゆる年代の人と接する機会があり、集団で人との関わり方を学ぶ生涯学習の場でもあります。 その中で、楽しいことがある反面、ストレスがたまったり、傷つく体験をすることもあると思います。 保健室ではエネルギー不足になったときに話を聞いたり、ゆったりまったり過ごしたり、たわいもない世間話などをしてくつろげるよう子どもをフォローする環境作りに努めたいと思っています。他にも、人間関係のバランスが崩れたときは橋渡し的な役割もしていきたいと思っています。 さまざまな外部環境での体験を通して耐性を育てていきたいと思いますが、家庭でもぜひ協力してもらいたいと思う部分があります。 〈耐性を育てるために家庭で協力して貰いたいこと〉 ◆ 必要以上に物を与えないこと また近年、集団遊びの崩壊が大きく子育てに影響しており、人との関わり方がよくわからない、自分をどう表現したら良いのかその術を知らない子どもをよく見かけます。 少子化が進み、大人の中で大事に育てられた子どもは、大人の前ではうまく自分を表現できても、同年代の中では何をどうしたらいいのかわからないケースが増えてきています。そして、クラスに適応できず浮いた存在になってしまう場合も少なくありません。 私は、友だちに好かれるためにどうしたら良いのか? アプローチのヒントを与えますが、子どもは自分を変えてまで溶け込もうとはしません。一人のほうが楽と捉えているのでしょうか。とても寂しいかぎりです。社会にでれば一人では生きてはいけません。 もっと子どもには他人との関わり方を大切に教えたいと思います。 友だちと接すると、こんなに素晴らしいんだよという体験をしてほしいと願っています。 あいさつをする、仲良くするということは大切なしつけのひとつでもあるんですね。 [朝鮮新報 2009.9.30] |