〈みんなの健康Q&A〉 通所介護とリハビリテーション |
Q:介護保険を利用した施設や在宅診察・介護が広く提供されるようになっていますが、今回は通所して受けられる介護とリハビリテーション(以下「リハビリ」)についてお話をうかがいます。 A:高齢化社会を迎え新たな社会的支援を図るため、これまでの介護サービスを効率的に再編成して実施されたのが介護保険制度で、2000年4月から始まりました。 この制度は居住地の市区町村が保険者となって運営しており、40歳以上の人が被保険者すなわち加入者となって保険料を負担します。介護や支援が必要となったときは医師の書いた書類をもとに要介護認定を受けて、費用の一部だけを負担することで介護サービスが利用できるしくみです。要介護認定を得て受けることができる在宅サービスのうち、通所して利用する日帰りのサービスが通所介護あるいはリハビリです。以前はそれぞれデイサービス、デイケアと呼ばれていましたが、介護保険の施行に伴い「通所介護」「通所リハビリテーション」と言うようになりました。ただし、基本概念は変わっていません。 Q:通所介護について教えてください。 A:日帰り介護施設、たとえば老人デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどにおいて、ひとりでは困難な食事・入浴介助の提供を受けて、施設によっては日常動作訓練なども受けられます。通常は送迎バスによる送り迎えがあります。施設では看護師による健康チェック、介護スタッフによる入浴や昼食介助だけでなく、おやつなどの休憩時間が設けられ、利用者はレクリエーションなどで楽しい時間を過ごして、夕方までに自宅へ送り届けてもらえます。施設のほうでは通所介護計画に沿ったサービスや健康状態の確認のほかに、広く日常生活などに関する相談を受けたり、助言もします。 Q:社会的にはどのような利点がありますか。 A:通所介護を利用することによって、同じような立場の利用者と会話をしたり遊んだりして交流する機会が増え、友人もできます。そのため、精神的にも安定して老化防止につながります。また一方では、食事や排泄の援助が必要な場合も看護師や介護スタッフが援助してくれるので、介護のためにどこにも外出できず、ひとりで介護をがんばっている家族・同居人にとってもきわめて便利なサービスといえます。すなわち、利用者の社会的孤立感の解消に役立ち、家族らの介護疲れと時間的負担を軽減するのに最も適していると考えられます。 Q:通所リハビリというのはどのようなものですか。 A:病院、診療所および介護老人保健施設などの指定通所リハビリ事業者によって提供される理学療法・作業療法・言語療法などの機能訓練を受けることができます。主たる目的は認知症や身体障害を有する人のリハビリや生活能力訓練で、そのために必要な設備や人材が整えられています。通所介護が外出促進・社会的な交流、家族負担の軽減が主である一方、こちらは身体機能の維持・回復、痴呆の軽減と日常生活能力の改善も大きな目的となっています。 Q:通所介護のような食事や入浴介助、レクリエーションなども行われるのですか。 A:実際は通所介護と同じようなサービスを行ったうえで、うまくリハビリを組み入れているところが多いようです。つまり、通所介護にリハビリがついたサービスであり、要介護者の社会的のみならず身体的機能を改善・維持するのにとても有効です。 Q:どのような人が対象になりますか。 A:要介護認定を受け、原則として要介護1〜5と認定された方ですが、介護予防の認定を受けている施設では要支援の人でも利用できます。たとえば、高齢で身体が弱ってきた方、脳卒中の後遺症や種々の合併症のため日常生活に困難を生じている方が対象となります。なお、利用者の介護度によって金銭的負担が異なります。 Q:具体的なサービス内容・日程などはどのようになっていますか。 A:あさひ病院を例にとって説明しましょう。まず、自宅と施設との間で車椅子でも可能な専用車による送迎をします。時間を調整して個別リハビリを実施し、その間管理栄養士が考案した昼食が提供され、介助による入浴をします。利用者の身体能力に応じて一般入浴・機械入浴あるいはシャワー入浴に分けられますが、福祉用具が整備されており安全かつ快適に入浴ができます。 実際の日程としては、来所するとまず看護師と介護スタッフによる問診ならびに血圧・体温測定等の健康チェックが行われ、当日の活動に支障がないか確認がなされます。その後、体をほぐす体操・運動が始められ、和気あいあいとレクリエーションが行われて時間が来れば昼食となります。レクリエーションとして、カラオケ・盤ゲーム・ボーリングゲーム・クイズなど多彩な娯楽が用意されています。問題なく経過すれば、午後はストレッチ体操、さらには可能なら工芸などの趣味活動まで行います。こういった日程の合間に入浴が行われ、理学療法士・作業療法士による個別リハビリである歩行・日常動作などの機能訓練が順番に実施されます。(金秀樹院長、医協東日本本部会長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800) [朝鮮新報 2009.9.16] |