〈食のはなしE〉 夏野菜-下- |
冬瓜で暑さを振り払おう! 暑気を振り払ってくれる野菜に冬瓜がある。 7月に旬を迎えるが、保存性が高いうえ、風通しのよいところに置くと冬まで持ち越せることから、冬瓜の名がついたと言われる。 96%が水分でビタミンCも豊富な低カロリー食品だ。胃の働きを促進し利尿作用もある。とてもやわらかくて、味や香りも淡白。このあっさり感が清涼感を出し、真夏の食べものとして最適だ。 冬瓜をはじめウリ科の植物は、古くから朝鮮の食生活に欠かせないものであった。 「韓国食生活の歴史」(李盛雨著)によると、古代朝鮮の時代から夕顔(かんぴょうの素)、白瓜、胡瓜などのウリ科の植物が栽培され、食されていたと記されている。 また、三国時代には冬瓜が使用されていたと中国の文献に残っているそうだ。 もっとも朝鮮の歴史ドラマには、必ずといっていいほど「パガジ」が登場する。 「パク(酵)」とは夕顔のことで、それを加工したボウルようのものを「パガジ」と呼ぶ。 このことからも、当時の食生活にウリ科の植物を多く使用していたという史実が一目瞭然であろう。 一方、かぼちゃもウリ科の仲間である。 朝鮮料理によく使われるかぼちゃは、朝鮮語で「エホバク」と呼ばれる。「幼い、未熟なかぼちゃ」という意味だ。 日本では、近縁種のズッキーニで代用することが多い。これは西洋かぼちゃに比べ、水分が多く甘味が少ないのと、くせがないことでさまざまな料理に合う使いやすい食材だ。 このように朝鮮の人々は遠い昔からウリ科の植物をこよなく愛し、食生活に欠かせない大切な食品として扱ってきたと言えよう。 さて、筆者も大好きな冬瓜だが、生姜の風味をきかせた夏にぴったりのレシピを紹介しよう(朝鮮料理研究家、金純子先生の提供)。 ポイントは、冬瓜自体には味がないので、ダシをきかせた調味をすること。 また煮崩れしやすいので、やや大きめに切り、弱火で下茹でするか、湯通ししてから煮込むとよい。(金貞淑、朝鮮大学校短期学部准教授、栄養学専攻) ■「冬瓜の煮物」の作り方 ■
【材料】
【調味料】 【作り方】 @冬瓜は皮と種を取り3センチ角の大きさに切っておく。 A鶏肉は2センチ角に切り、小麦粉をまぶしておく。 B鍋に冬瓜を入れ、肉汁を注ぎ込む。 C前述のBの鍋汁が沸騰したら、Aの鶏肉と調味料を入れる。 D赤唐辛子、赤ピーマン、生姜を切り、Cの鍋に入れてしばらく煮込んだあと、塩で味を調える。 [朝鮮新報 2009.7.31] |