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〈朝鮮と日本の詩人-99-〉 山田今次

白いチョゴリの少女

 ぼくは外套をきたまま肩をすぼめていた。
 ちいさな舞台。
 少女たちは きちんとちぢまって ならんでいた。
 ライトは ぼんやりと まだ位置がきまらない。
 白いチョゴリの少女。胸に赤いリボン。

 ひとまえになれていないのだ。
 少女たちは かおをみあって つくん、とたっている。
 じっとみているぼく。
 そっとならんでいる少女たち。
 白いチョゴリの少女。胸に赤いリボン。

 ふと、少女たちの手がほそくひるがえった。
 さ、さ、さ、さ、さ、さ
 少女たちは舞台にゆれた。
 赤や黄や緑の布が なみをうってすばやくよぎった。
 拍手が さかんにおこった。
 拍手は手と手の中からはじきでて あったかい泡のように舞台にとんだ。

 少女たちは すでに羽毛のようであった。
 手が ひらり、ひらりし 手が足がなおもなおもとおどった。
 さ、さ、さ、さ、さ、さ
 白いチョゴリの少女。胸に赤いリボン。
 ぼくはいつかたちつくしていた。

 「舞台」の全文である。踊っているのは中級学校の生徒たちであろうか。白、赤、黄、緑の単色的な直喩があざやかである。「白いチョゴリの少女。胸に赤いリボン」というレフレーンが少女たちの魂を象徴しており、それにふれて詩人の心は洗われている。

 山田今次は1912年に横浜市に生まれ、10代ですでに詩の回覧誌をつくっている。プロレタリア詩運動に加わり検挙されたこともある。戦後、新日本文学会に加わり詩、小説を多く発表した。第一詩集「行く手」(58)は中野重治、金子光晴らによって評価された。詩集「技師」「風景異風景」「塵」他を残した。(卞宰洙 文芸評論家)

[朝鮮新報 2009.7.27]