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〈朝鮮映画週間〉 「花を売る乙女」「月尾島」など 9本・各回入れ替え制

18〜31日まで 横浜で

 朝鮮映画史をひもとく傑作選が横浜で上映される。「ある女学生の日記」をはじめ大河ドラマ、アクション、アニメ、コメディーなどで、劇団「アランサムセ」作家の朴成徳さんらによる各種講演会もある。

ある女学生の日記

 朝鮮映画史の大きな転機となった作品。60年代後半から70年代の朝鮮映画隆盛期の作品群とは一線を画する、新しい「朝鮮映画」の新機軸として、自信を持って世に送り出した意欲作だ。淡々と描かれる女子学生の日常が、だからこそ瑞々しく、逆に心に訴えかけてくる。朝鮮の等身大の今を描いている。

▼ストーリー

 スリョンは大学入学を控え進路を悩んでいた。

 父親は研究所の寮に暮らしながら、研究に没頭している。

 温かい家庭の中にも父親のいない空虚感が次第にスリョンを押しつぶしていく。そんなとき、母親がガンであることが発覚する。

 それでも研究を優先させる父親に、スリョンは次第に嫌悪感を抱き始めるが…。

01.花を売る乙女

 朝鮮を代表する一大革命叙事詩的作品。植民地時代、貧しい家庭に生まれた主人公のコップニは、病に臥せている母の薬代を稼ぐため、昼は地主の家で働き、夜は街に出て花を売る。

 そんな過酷な運命を、半ば諦めのように受け入れるコップニが、朝鮮人民革命軍に入隊した兄と再会し、その世界観を徐々に変えていく。

 闘争だけが、自らを不幸な運命から解き放ってくれる手段であると。はじめは歌劇として創作されたものが映画化された。今でも平壌の劇場では定期的に上演されている。映画版「花を売る乙女」で主人公コップニを演じたホン・ヨンヒの姿は、朝鮮の旧1ウォン札の裏面に描かれている。まさに朝鮮を代表する映画。

02.洪吉童

 朝鮮初のアクション映画。主人公の吉童は、裕福な両班の家庭に生まれながら、庶子(妾の子)であるため、幼いころから虐待を受け、ついには義母に暗殺まで謀られてしまう。

 不条理な身分制度に耐えられなくなった吉童は家出をし、義賊へと転身。道術を使い、悪しきを討つ吉童の姿に、朝鮮の子どもたちは熱狂した。原作は許(1569〜1618)の古典小説「洪吉童伝」。

 北でも南でも知らない人はいない「吉童」は庶民のヒーローでもある。ちなみに主人公の洪吉童を演じるのは、二枚目俳優として人気の高いリ・ヨンホ。この映画によって一気に朝鮮映画界のスターダムにのしあがった彼は、兵庫県出身の在日朝鮮人帰国者。

03.春香伝

 退伎の娘−春香と、両班の息子−夢龍。ときは15世紀、朝鮮王朝時代。徹底した封建制度下では決して許されるはずのない、身分の違う二人の恋物語。朝鮮半島に住む人なら誰もが知っている、古典文学の代表作。

 原作に忠実に創られた本作品は、南朝鮮映画界の巨匠−林権澤監督が撮り、これこそが「春香伝」の決定版と謳われた「春香傳」(2000年)と見比べてもまったく遜色がない。

 注目すべきは、春香のキャラクター設定。自分の運命を悲観するのではなく、自分の運命を切り開く断固とした意志力を持ち合わせた春香の性格は、他作品の春香とは一線を画する、朝鮮映画の主人公たちの古典的な造形である。

04.月尾島

 舞台は朝鮮西海中部に位置する月尾島。祖国解放戦争(朝鮮戦争)のまっただ中、米軍の上陸作戦を3日間遅延させよとの命令を受けた砲兵中隊が、小さな島を守り抜く壮絶な戦争ドラマ。

 リ・テフン中隊長の、砲撃を指示する旗が振り下ろされた瞬間、彼らの死闘が始まる…。なんと言っても有名なのは劇中の挿入曲でもある「海岸砲兵の歌」。

 ティンパニーの力強いリズムで始まるこの曲は、朝鮮学校の運動会などでも必ず使われる曲であり、何よりボクシングの元WBC世界スーパーフライ級チャンピオンであった洪昌守選手の入場テーマ曲でもある。

05.大同江のほとりで

 大同江旅客船の顧問船長であるカン・ソンダルとウンジョン幼稚園の園長チョ・ボックム、そして浚渫船の船長トン・チャンと水上スキー選手へヨン。

 年配と若者、2つのカップルの恋愛のゆくえをユーモアたっぷりに描いた。

06.好童王子と楽浪王女

 高句麗時代の有名な伝説を題材にしたフランスとの合作アニメーション映画。

 高句麗王の命により敵対関係にあった楽浪に向かった好童王子は、美しい楽浪王女と恋に落ちる。

 しかし、それを知った楽浪王は裏切り者として楽浪王女を問いつめ…。

07.農民英雄

 「愛国米献納運動」の提唱者として広く知られている農民、キム・ジェウォンをモデルにした長編大作。

 解放前は雇われてた耕作に従事する男にすぎなかったキム・ジェウォンは土地改革によって農地の所有者となり、命を賭してその恩に報いようとするが…。

08.アリラン祭

 観覧客10万人以上という、世界最大規模の祝祭にカメラが迫った。

 02年4月末から6月末まで、平壌の15万人を収容するメーデースタジアムで、金日成主席生誕90周年を迎えて開催された祭りの模様を完全収録。

 スクリーンで観るマスゲームは圧巻。

09.遊園地の一日

 息子に恋人がいることを知らない母と、妹に恋人がいることを知らない兄は、遊園地で2人のお見合いをさせることに。

 一方、自分の子どもと義妹に恋人がいることを知る父と義兄は、このお見合いを破談にしようと遊園地にやってきて…。

 心温まるコメディー映画。

日時=7月18日(土)〜31日(金)

 場所=シネマジャック&ベティ(京急本線「黄金町」駅徒歩5分)

 入場料=1200円(シニア、学生、会員は1000円)

 問い合わせ=シネマジャック&ベティ(TEL 045・248・9800)、HP=www.jackandbetty.net)

朝鮮映画週間 横浜で上映 7月18日(土)〜31日(金)

[朝鮮新報 2009.7.15]