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〈朝鮮映画週間〉 「ユーモア、楽しい、人間に共感」

 朝鮮の映画10本が、「北朝鮮映画週間」(配給・協力=カナリオ企画)と銘打って、神奈川県横浜市のシネマ・ジャック&ベティで、18〜31日に上映される。07年春、カンヌ国際映画祭で話題をさらった「ある女学生の日記」を日本で初ロードショー公開するのをはじめ、「花を売る乙女」「月尾島」などの名画9本も特別上映される。この企画を担当したシネマ・ジャック&ベティの小林良夫副支配人に意気込みを聞いた。

 小林さんは富山大学朝鮮語学科卒。28歳の目元涼しい好青年だ。

 大学卒業後横浜に就職。その後脱サラして元同僚だった仲間ら3人とシネマ・ジャック&ベティを前経営者から譲り受けて、今年で3年目になるという。ときあたかも、不況と朝鮮バッシングという二つの強嵐に見舞われながら、意気軒昂に取り組む。

 「情勢が気にならないといえばウソになるが…。もともと僕は、朝鮮半島に興味があって、大学で言葉を学んだ。朝鮮学校を描いた『ウリハッキョ』を2週間上映したこともある。でも、残念なことに、これまで北の映画を観る機会がなくて、こんなに近い国で、情報が氾濫しているのに、なんでかな、と不思議で仕方なかった」

 疑問に思ったことをすぐ行動に移すのが、いまどきの若者。配給会社に連絡したのは1年前だったが、本格的に準備に入ったのは今年初めから。配給先と相談しながら10本を選んだ。

 「先入観もあって、北の映画にはプロパガンダ色が強いのでは、とも思っていたが、それは全くの誤解だった。ユーモアがあって、楽しい、感動的で共感できる優れた作品がそろっていて、新鮮な驚きを受けた。何より俳優の演技がすばらしい」

 ちなみに小林さんのいちおし映画は「月尾島」。主役を演じた中隊長リ・テフン役のチェ・チャンスに魅了されたという。また、「ある女学生の日記」のスリョンにもはまっていて、「かわいいですね。日本でいえば、たちまちアイドルだと思う」と太鼓判を押す。

 「日朝間に諸問題はあっても、政治と文化は別問題。上映がそれで左右されてはならない。だからあえて時期はずらさなかった。北の作品には、人間はどう生きるべきか、という究極的な問いが追求されていて、とてもいいと思う。政治とか体制とかではない、その国に住む人間がどう生きているのかを知るうえでまたとない機会だと思うので、上映期間中、映画ファンだけでなく、いろいろな人たちにぜひ来場してもらいたい」と小林さんは呼びかけている。

 「この映画館一帯はかつては買春の街。『性』という人間の本質的な欲望で栄えた街だが、いまはゴーストタウンのようになった。映画館も3つあったが、潰れて残ったのはここだけ。その街を今度はあらゆる国境を超えて人間同士がコミュニケーションできる『映画』で再生できないかと…」

 上映週間まであとわずか。やっと実現すると思うと「高揚感でいっぱい」だと語る。前もって告知すると騒ぐ人もいるという心配もあり、ホームページ上に宣伝を載せたのは7月に入ってから。意外にも「応援します」「日本もまだ、捨てたものじゃないな」「面白い企画」という好意的な声が寄せられている。

 小林さんは「映画を観て何を感じるのかは、観る側の感受性の問題だ」と指摘しながら、この試みが、北の報道を一面的に流すメディアへの「やりすぎじゃないの」というアンチになればいい、と語った。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2009.7.15]