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朝鮮代表する舞姫 洪貞花さんがリサイタル

70歳を記念 平壌国立演劇劇場で

日本で躍動感あふれる「長鼓の舞」を踊る洪さん(1980年、東京公演)

 人民俳優で、朝鮮を代表する舞姫・洪貞花さんの誕生70周年を祝う舞踊リサイタルが、6月22日、平壌の国立演劇劇場で開かれたというニュースが報じられた。

 洪さんの変わらぬ健在ぶりを知って、日本でも多くのファンから喜びの声が上がっている。

 洪さんは29年前の1980年、国立ピョンヤン芸術団の一員として訪日、北海道から九州まで約2カ月間、各地を公演し、センセーションを巻き起こした。記者も取材記者として密着、さまざまな秘話をうかがうという幸運に恵まれた。その魅力的な素顔は、長い記者生活の中でも、忘れがたい印象を残している。

 洪さんは舞踊一筋の道を歩いた。デビューしたのは14歳だから半世紀以上を第一線で過ごしたことになる。若い頃、不眠不休のレッスンを続け、一時間半くらいしか眠らなかったという伝説の持ち主でもある。

移動の新幹線の中でくつろぐ洪さん(写真中央=80年)

 踊り、振り付け、演出の三役をこなす非凡な才能に恵まれ、平壌音楽舞踊大学で理論と実技を磨いた。朝鮮戦争の最中も一日も練習を欠かさなかった。戦争後廃墟と化した平壌には練習部屋もなく、彼女は地べたの上で、素足でレッスンを続けた。そのときの話は今でも語り草になっている。

 世界の舞台で金メダルを受賞した「長鼓の舞」。その後、45カ国で巡演し、人気を博した。生活に裏うちされた多彩なタッチを刻み込み、激しい律動感に溢れる。民俗性を基盤にしながら、さらに現代的感覚で磨き上げた舞踊であり、洪さんの代表作。この作品は、平壌の普通江遊歩道を散歩中に観た、チャンゴのリズムにあわせて踊りや歌を楽しむ人びとの余興がヒントになった。洪さんの一連の作品は、各地で埋もれていた民俗舞踊に光を当て、新たな命を吹き込んだもの。

 金剛山歌劇団の按舞家・康秀奈さんは、「洪さんは在日の舞踊家たちの憧れ。その作品は若い舞踊家たちに受け継がれ、北だけでなく、金剛山歌劇団の公演を通じてソウルや世界各国でも親しまれ、圧倒的な共感を得ている。ますます元気で活躍してほしい」と語る。

 リサイタルの後、洪さんは「今日の舞台を主席がご覧になったら、どんなに喜ばれることでしょう」と述べ、今後も「力と勇気のすべてを捧げ、多くの舞踊家を育てていきたい」と語ったという。舞踊への衰えを知らぬ情熱と輝きに心から拍手を送りたい。(粉)

[朝鮮新報 2009.7.10]