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〈食のはなしC〉 食品添加物

体内でじわじわと健康蝕む

 食品のパッケージには食品添加物名がびっしり並んでいる。「これ食べて大丈夫?」と思えるほど怪しい名前がいっぱい連なっている。食品衛生法やJAS法など食品表示に関する多くの法律の規制により、食品添加物の明記が義務化となったためだ。日本人は食品添加物の国内生産量から推測すると、一日平均70〜80種類、約11グラム程度摂取しているといわれ、1年間で4キロを体内に摂り込んでいる計算になる。むろん排泄を考慮していないので、ありえない量と思いがちだが、少なからずこれに近い量が身体に入るといっても過言ではない。

 食品添加物は食品の保存、味、色等を保たせるために加えられたものなので、元来体の働きからすれば有害であり、不必要な物質である。 なかでも加工食品でよく目にする「パーム油」。これはヤシ科の天然植物油として「健康的」なイメージがあるが、酸化防止のため食品添加物を入れないと日持ちしない。もっとも「パーム油」にはBHA(ブチルヒドロキシアニソール)という酸化防止剤が添加されている。だがこのBHAという名前を表示名でみたことがない。これは添加物の効果が視覚、味覚等の五感に感知できない場合、使用できるという「キャリーオーバー」のことを指す。即ち最終食品になんら影響がなければ、表示しなくてもよいということだ。実はこのBHA、動物実験により発がん性物質として実証されている毒性の高いものである。ほかにも数多くの「キャリーオーバー」が存在する。

 われわれは添加物を使用することで手間を省き便利さを手に入れてきたが、その対価として多くの添加物が体に入り、それらがじわじわと体を蝕んでゆく。

 できれば添加物を除去して、より安全なものを食べたいと思うのが世の常。さらに得た知識を有効活用することで、賢く食品を選択することに越した事はない。例えばハムやソーセージには、染色体異常、骨形成異常、発がん性の可能性があるといわれている、ソルビン酸、リン酸塩(保存料)、亜硝酸Na(発色剤)が添加されている。

 まずは30秒〜1分程湯に通し、緑黄色野菜やキャベツ等と一緒に食べる事で、カロテン、ビタミンC、E、食物繊維が添加物の害を多少防いでくれる。蒲鉾のような練り物も湯で洗うと、添加物と一緒に塩分も多少減らせるであろう。食パンはなるべくトーストにすることで、熱により臭素酸Kをある程度無害にできることが知られている。一方食品表示の複雑さやわかりにくさを少しでも解消し、理解度をアップするため、食品表示検定試験(2009.11からスタート)にトライするのもいいのでは。食品表示に関する基礎知識、食の選択力が養われるはずだ。

 とある養豚場で実際にあった話。コンビニ弁当を処分するにはもったいないので、母豚に毎日与え続けた結果、生まれた子豚達の多くが奇形や虚弱体質であった。その後以前と同じ餌に変えると奇形でない子豚が生まれたのだ(「西日本新聞社ブックレットbQ」より)。食の安全性について考えさせられる出来事である。(金貞淑、朝鮮大学校短期学部准教授、栄養学専攻)

[朝鮮新報 2009.6.12]