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〈食のはなしB〉 炭水化物

糖質は大切なエネルギーの源

 炭水化物は糖質とも呼ばれ、エネルギー源として利用されるものと、ほとんどエネルギー源として利用されない食物繊維を含む。糖質は3大栄養素のうち最も効率よく使われ、1グラムあたり4キロカロリーのエネルギー源となる。特に脳にとってブドウ糖は重要なエネルギー源だ。また、母乳、牛乳などに含まれるラクトース(乳糖)も、育ち盛りの乳幼児には欠かせない。なぜならラクトースに含まれているガラクトースは、脳や神経組織に多く存在し、大脳の発育を促進させる重要な糖質だからだ。

 ブドウ糖はグリコーゲンとして肝臓と筋肉に貯蔵される。もっとも筋肉量が多いほどグリコーゲン貯蔵量も多いが、その量は意外に少なく70`の男性で肝臓、筋肉合わせてせいぜい450グラムである。

 血中ブドウ糖やグリコーゲンは他の栄養素よりも素早く使用され、少なくなるとスタミナ切れとなり疲労感を味わう。そのためスポーツ選手はもちろん、一般人でも糖質を十分摂取した方が健康的だと言える。しかし、一定量を超えると脂肪として貯蔵され、肥満が気になる。量を抑えたいのが実際のところ。

 そこで注目を集めているのが、食後の血糖値の上昇を示す「血糖上昇指数glycemic index、GI」だ。

 ブドウ糖50グラムを摂取した後、2時間後までの血糖を計り、それを100として他の食品の糖質量を比較する。GI値が高いとインスリン分泌が刺激され脂肪合成、さらに極端な場合には肥満につながる。

 主な食品のGI値を表にまとめてみた。精製度が低い、即ち食物繊維が多いほど低く、酢の物、大豆製品、牛乳等はGI値を下げると言われているので有効だ。

 中でもバナナはダイエット食品として一時期マスコミを騒がしたが、その理由も分からなくもない。バナナにはブドウ糖はもちろん甘みを出す果糖や蔗糖、また食物繊維も多い。それに加えビタミンやミネラルも豊富なため、良い食品といえる。とりわけカリウムも多い。カリウムはナトリウムの排泄を助けるので、高血圧改善効果も期待できる。

 子どもの間食として最適なバナナにもうひと工夫してみよう。バナナに適量のヨーグルトを入れ、そこへきな粉、黒砂糖をかけるとより一層バランスの良い組み合わせになるだろう。

 そもそもGI値は欧米で糖尿病や食事管理、指導に使われている指標であり、日本ではこの欧米の数値をそのまま利用している。

 また食品の種類だけではなく、咀嚼回数、精製度、調理法、他の栄養素との組み合わせ、食物繊維の量等様々な条件によりGI値は左右される。それに加え各研究機関が発表しているGI値はばらつきがある。

 結果的にGI値を低くするためには、食品を単品で食べるのではなく、様々な食品を組み合わせる事で無理なくGI値を低くすることができるのだ。このような条件を考慮すると、GI値はあくまでも炭水化物を上手に摂り入れる1つの「目安」として参考にするといいだろう。(金貞淑、朝鮮大学校短期学部准教授、栄養学専攻)

[朝鮮新報 2009.6.5]