新型インフルエンザにご用心 手洗い、うがいの徹底を |
発熱時は地域の相談窓口へ 世界的な大流行が懸念されている新型インフルエンザ。5月15日に兵庫県、翌16日には大阪府から新型インフルエンザの発生報告があり、その後この両府県を中心に、日本国内での報告数は累積で321例(5月28日、国立感染症研究所感染症情報センター新型インフルエンザ大阪派遣チーム)となった。各地の朝鮮学校でも新型インフルエンザに対する対策と予防に努めており、とくに手洗いとうがいを徹底するよう呼びかけている。
学校では
東京朝鮮第3初級学校(東京都板橋区)では、新型インフルエンザ予防のため、5月中旬から児童と保護者たちに注意と予防を促している。 先日、同校を訪ね、新型インフルエンザ対策の現場を取材した。 休み時間、運動場で遊んだ子どもたちは教室に戻る前、手洗い場にいっせいに集まってくる。 水道の蛇口をひねって水を出し、手をよくぬらして石けんを泡立てる。くるくると指の先で円を描くように、手のひら、手の甲、親指、指の付け根、指と指の間を丁寧に洗う。 そして、ブクブク、ガラガラとうがいをする。子どもたちはみな、のどの奥まで十分水が行きわたるように、上を向いて首を左右に少し傾けながら、5秒、10秒と念入りにうがいをする。
「インフルエンザ予防には学校と家庭の協力が不可欠」と、同校の康哲敏主任は語る。
学校対策としては、@手洗い場の水道ごとに薬用石けんを置く、Aうがいと手洗い、清潔なハンドタオルを利用する、B通学時および授業中(希望者)はマスクを使用する、C教師が児童の体調の変化に気を配り、具合が悪いようなら保護者へ連絡する、D低学年の教室にアルコール製剤を置く―を実施している。 一方、家庭での対策については、@毎日清潔なハンカチを持たせる、A帰宅後の手洗い、うがいを必ずさせる、B発熱などの症状がある場合、地域の発熱相談窓口へ連絡する、C通学時にマスクを着用すること―を呼びかけている。 同主任の話によると、同校では昨冬インフルエンザが流行し、学校生活に大きな支障をきたしたと言う。 児童の多くは通学時にバスや電車を利用している。せめて、学校でできるかぎりの対策を取ろうと、教職員たちは保護者と連絡を密にしながら予防に努めている。 「新型インフルエンザは、秋から冬にかけてさらなる拡大が懸念されている。本校では新型インフルエンザのワクチンが確保でき次第、校医と相談のうえ全校児童と教職員、希望する学父母に対して集団予防接種を検討している」(同上)。
医師の話
一方、新型インフルエンザの予防・対策についてあさひ病院内科・金秀樹院長(医協東日本本部会長)に話を聞いた。 金医師は、中高年者より若者や子どもに患者が多い理由について、「若者や子どもは会社や学校など集団でいることが多く、また体をぶつけあったり、食器を使いまわしたりすることもよくある」と指摘し、「若年層は感染してから他人にうつす力がある期間が、高齢者より長いといわれている。とくに学校は感染が起きやすく、広がりやすい場所として最も注意が必要だ」と警告した。 そして、「新型インフルエンザは日本のような医療先進国では十分に対処できるので冷静な対応を」と、注意を促した。(金潤順記者) 電話相談窓口 4月25日夕方より、厚生労働省において電話相談窓口が開設された。 【開設期間】09年4月25日(土)〜当面の間(土日・祝日含む) 【受付時間】9〜21時 【電話番号】TEL 03・3501・9031 ※各地方自治体ごとの「発熱相談センター」にも相談を。 [朝鮮新報 2009.6.3] |