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くらしの周辺−在日外国人の人権

 数年前から「広島市外国人市民施策懇談会」に「朝鮮人」枠の一人として参加している。広島市も市民局人権啓発部を中心に外国人の生活と人権の取り組みを行い、同懇談会も一定の成果を収めてきた。先日、今年度の初会議が開かれ、教育問題などが議論された。

 オールドカマーである在日朝鮮・韓国人にとっては、日本学校に通いながらも民族のアイデンティティーを守り、育んでいくのが課題になる。ニューカマーは日本語を身に着け日本の生活に慣れるのが課題だ。委員会の1人がいう。「日本の学校に通わせて果たして外国人が自民族のアイデンティティーを育めるのか」。その問いに明確な答えは出ない。

 日本に住みながら日本人とわれわれが互いを理解しつつ共に生きることは必要だ。しかし、それだけでは民族の誇りと文化を受け継ぐことはできないだろう。

 「区別と差別」。この問題を考えながら、総聯支部会館に昨年から突然課された固定資産税のやり取りを思い出した。行政担当者との話し合いの中では「公共性」が論点となる。担当者は「朝鮮会館が一般の公民館のようになれば」と言う。私は「それでは私たちが苦労して会館を立て、維持する必要がないではないか」と主張する。相手の言う「公共性」については理解できるが、在日朝鮮人が日本にすべて身を任せて生きるとなれば、それは同化を進めるだけだ。

 民族のアイデンティティーを守り、同胞同士を繋げる拠点は必要だと私は考える。朝鮮会館の存在はむしろ日本人にとっても有益ではないだろうか。日本社会との距離の取り方は、同胞と日本人、どちらにとっても重要な問題だ。(呂世珍・団体職員)

[朝鮮新報 2009.5.15]