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満員御礼、福岡朝鮮歌舞団が初のディナーショー 市民団体が主催

全員参加で大賑わい 「一日でファンになってしまった」

 福岡朝鮮歌舞団のディナーショーが4月24日、RITZ5(福岡市博多区)で行われた(写真)。「福岡ちんぐの会」「FUKUOKA KOREA COMMUNITY」の共催で、「日本・コリア市民交流ネットワーク福岡」が後援した。

 同歌舞団は同胞の結婚披露宴、新年会などの祝いの席、学校、デイサービスでの公演など地域に密着した多彩な活動を行ってきたが、市民団体主催によるディナーショーは66年の結成以来初めてのことだ。150人の市民、同胞が見守る中、団員たちは朝鮮の伝統舞踊や歌、日本と朝鮮の民謡を融合させた「とんぼアリラン」などを披露した。

 なお、ディナーショーは当初100人を定員としていたが、瞬く間に完売。急遽、定員を会場のいっぱいまで増やしたがこれもまた完売し、満員御礼での開催となった。

 初めて歌舞団の公演を観覧したという北九州市在住のある日本市民は、「素晴らしい公演。一日でファンになってしまった。機会があるかぎりまた参加したい」と満足気に語った。

 ディナーショーは来場者の期待を超えるカタチで成功を収めた。団員たちは、「朝・日友好親善のかけ橋になりたいという願いが叶った」と喜びを噛み締めた。

新曲のお披露目も

 福岡朝鮮歌舞団の結成以来初となる、市民団体主催によるエンターディナーショーが4月24日、RITZ5で行われた。公演のテーマは「サラン(愛)」。歌舞団との「ふれ愛」を求める150人の市民、同胞たちで会場は満員となった。

「音楽は国境を越える」

参加者は団員たちとのふれあいを楽しんだ

 オープニングを飾ったのは舞踊「リムジンガン」。続いて独唱「愛の道」が披露された。

 会場の前後に用意された特設舞台を団員たちが踊りながら、歌いながら往復することで、会場全体があたかも大きな舞台といった趣だ。実行委によれば、これは歌舞団をより身近に感じるための「サプライズ」だという。

 「扇の舞」をはじめとする朝鮮の伝統舞踊に加え、この日のために作成されたオリジナルの新曲、「チング(ともだち)」「かけがえのないもの」「愛のおくりもの」などのお披露目があったほか、スペシャルゲストとして出演した志免飛龍太鼓との共演など多彩な演目が並んだ。

 また、「体験コーナー」として、全員参加での朝・日の民謡を融合した「とんぼアリラン」の合唱、チャンダンと「3・3・7拍子」の共鳴を楽しむ手拍子遊びも行われた。

 「音楽は国境を越える」という団員たちの言葉に参加者は大きくうなずいていた。

 歌舞団の素顔が垣間見れるトークも弾み、最後は「ペンノレ(舟歌)」に合わせて、参加者全員による掛け声「オーギヨンチャ」の大合唱と踊りで公演は成功裏に幕を閉じた。

 参加者は、「一日でファンになってしまった」「もっと団員たちと仲良しになりたい。歌舞団は私たち日本人にとっても隣人と手を取り合っていかなければいけないということを教えてくれる宝物のような存在」と賞賛を送った。

「歌舞団は地域の宝物」

新曲のお披露目など、多彩な演目が舞台に上がった

 「歌舞団は地域の宝物」というのはこの他にもいる。団員たちから「オンマ」「いっちゃん」と慕われる実行委員会事務局の藤井いつ子さん(日本・コリア市民交流ネットワーク福岡)だ。

 藤井さんが初めて歌舞団と出会ったのは2007年12月のこと。偶然にも自主公演に招待されたのを機に「歌舞団の『おっかけ』をしたい」と思うようになったという。歌舞団の控え室に「次の公演はいつ?」と押しかけたそうだ。

 歌舞団が対外的に公演を行う機会は多くない。「在日の人だけが歌舞団の公演を観覧出来るのはもったいない」と藤井さんは困惑する団員たちをよそに、次回公演の予定が未定なら自分で公演を企画しようと決めた。

 こうして行われたのが昨年6月の「響」公演だ。公演は約440人が観覧し成功を収めた。

 藤井さんは「歌と踊り、芸術と文化に国境はない」と確信する。そして「歌舞団は地域の架け橋でありかけがえのない宝物」だと思うようになった。この経験を元に歌舞団をもっと身近に感じられるようにと企画されたのが今回のディナーショーという訳だ。

志免飛龍太鼓との共演も

 ディナーショーは当初、定員100人で行われる予定だった。宣伝の方法は「口コミ」だけ。実行委は大赤字も覚悟していたが、チケットは販売開始からわずか2週間で完売した。急遽、追加のチケットを発行したが、これもすぐに売り切れてしまった。それでもチケットを求める問い合わせは続いた。

 この不景気真っ只中に起こった「珍現象」に地元のメディアが飛びついた。当日はテレビ局4社をはじめとする各種報道機関が取材に訪れた。

 実行委では「響」公演でファンになった人たちが友人たちを誘ってチケットを求めたことが大きな要因であり、歌舞団の実力と市民団体の地道な活動が実を結んだ結果だとみている。

今後も地域密着で

熱演に惜しみない拍手が送られた

 参加者からの鳴り止まない拍手を背に舞台を降りた文香蘭団長は、「同胞の支えと日本の友人たちの応援で無事成功を収められた。舞台の上でみんなとひとつになることを感じた。苦しいときこそ、同胞、日本の友人の力になれる歌舞団を目指してまい進したい」と抱負を語る。

 歌手の「由香さんは、「地域密着という歌舞団の特色をいかしてこれからもいろいろなことにチャレンジしたい。歌舞団の活躍を心から喜んでくれる同胞、応援してくれる日本の友人たちからいつも大きな力をもらっている。大好きな歌をもって、朝・日友好親善の架け橋になれるようがんばりたい」と話した。

 実行委の山本達朗さん(福岡ちんぐの会)は、「日朝友好親善の可能性とその幅を広げてくれる公演となった。なによりも出会うことが重要だ」と強調し、今後もこのような場を設けられるよう尽力したいと意欲を見せた。

 公演後も参加者たちは団員たちと握手を交わし記念撮影に勤しむなど、「ふれ愛」を楽しんだ。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2009.5.11]