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〈朝大 朝鮮自然博物館 I昆虫〉 チョウ目中心に約300種

白頭山頂の優雅なコムラサキ

天然記念物「ウスバキチョウ」の標本

 体調を崩してしばらく入院していたので、その間本をたくさん読んだ。病室で節足動物に関する研究書を読んでいるところを、主治医である若い女性の外科医に目撃された。

 すると彼女は、「私、内臓系は全然平気ですけど虫はどうも苦手で…」と眉をひそめながら一言残して去っていった。

 女の子も男の子も、小さい頃は同じように虫を捕まえて遊んでいたはずなのに、女の子が次第に虫を避け始めるのはなぜだろう。いずれにせよ、好きでも嫌いでもわれわれは虫の恩恵を受けてきたし、これからも虫たちと共存していかなくてはならないだろう。

 今回は朝鮮自然博物館が所蔵する昆虫の標本を紹介しよう。

 ウリナラで採取されたチョウ目を中心に、昆虫約300種が美しい姿を見せてくれる。中には日本で採られた種と比較展示しているのもある。残念ながら子どもたちが大好きな甲虫の標本はほとんどない。

著者が一昨年、白頭山で撮影したシロモンコムラサキ

 まずはウスバキチョウから。

 アゲハチョウ科に属するがモンシロチョウを一回り大きくした感じである。その名の通り前翅が半透明で向こうが透けて見えるくらいだ。ウリナラの北部山間地帯、中国東北部、ロシアなどに分布する。 日本では北海道の大雪山系でのみ棲息し、国の天然記念物に指定されている大変希少な種である。成体になるまでに3年かかるらしい。

 朝鮮新報に「朝鮮名峰への旅」シリーズを連載した山岳カメラマンの岩橋崇至さんが、夏の白頭山でウスバキチョウの群生を見たそうだが、実に羨ましい。筆者も白頭山へは幾度か行く機会があったがウスバキチョウを見ることはできなかった。

 そのかわり一昨年、白頭山でシロモンコムラサキを目撃した。革命の聖山、勇壮な白頭山の頂上にたたずむ大きくて優雅なコムラサキ。日本の国蝶であるオオムラサキより大きかった。後翅の黒い下地に大きな白紋が溶込むグラーデーションが美しい。日本では見られないシロモンコムラサキの標本ももちろん本館に展示されているので見てほしい。

マドタテハの翅の影。窓に光が射しているのがわかるだろうか

 次も日本では見られない蝶であるマドタテハ。タテハチョウの仲間は蝶の中でも最も進化したグループだと言われるが確かに種類が多い。先ほどのシロモンコムラサキもタテハチョウ科に属する。マドタテハは前翅の先端部分(翅頂)に窓があるのだ。楕円状に切り抜かれたように透明な窓。その部分だけ鱗粉がついていないようである。昆虫の姿は本当に不思議で美しい。

 そのほかにもオオアカボシウスバシロチョウ、ベニモンキチョウ、ガイマメスアカシジミ、ギンシジミ、ヤマドリヒョウモンなどを所蔵するが、展示スペース拡張計画進行のため現在は極一部の昆虫標本が公開されている。いずれ昆虫展示も充実していくつもりなのでご期待を。

 最近では肌の手入れや化粧に気を使う男性も少なくない。女性的な彼らを「オトメン」「草食系」などと呼ぶそうだ。オトメな彼らは虫をどう見ているのだろう。やはり苦手なのだろうか。わが息子たちは相変わらず土を掘る。そして蜘蛛にドキドキ、甲虫の幼虫を捕らえ歓喜する。わんぱくにたくましく育ってほしいと願うばかりである。(李景洙、朝鮮大学校理工学部准教授)

朝鮮自然博物館へは「朝鮮大学校国際交流委員会」へ電話連絡のうえお越しください。

 朝鮮大学校 東京都小平市小川町1−700、TEL 042・341・1331(代表)。

アクセス

・JR中央線「国分寺」駅北口より西武バス「小川上宿美大前行き」または「小平営業所行き」「朝鮮大学校」下車徒歩1分

・JR中央線「立川」駅北口より立川バス「若葉町団地行き」、終点「若葉町団地」下車徒歩10分

[朝鮮新報 2009.4.22]