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北九州で高麗書芸研究会国際交流展 北南、中国、在日同胞の作品158点展示

「墨の香りに誘われ 再び出会う」

「民族性固守」と揮毫する出品者

 在日同胞の書芸愛好家らが集う高麗書芸研究会創立20周年を記念し、第15回国際交流展(宋美子実行委員長)が10〜15日、福岡・北九州市立美術館で開かれた。同展は書芸を通じて祖国統一への願い、民族文化の伝承・発展の思いを込め、これまで平壌、ソウル、中国・延辺、そして日本各地で開かれてきた。県下での取り組みは実行委の卞順玉事務局長が講師として15年前、北九州市八幡で開いた英華教室から始まり、現在は遠賀、小倉、福岡、そして朝鮮学校へと広がった。今回のテーマは「春らんまん 墨の香りに誘われて福岡で再び出会う一つの民族」。会場には北南朝鮮、中国、在日同胞、県下の朝鮮学校生徒らと日本人の作品158点が展示された。

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展示会のテープカット

北から出品された作品

 10日、祝賀会が開かれ、文芸同中央・金正守委員長、総連福岡県本部・李周学委員長、高麗書芸研究会・張允植会長、また韓国民族書芸人協会・李斗熙事務局長、全羅北道の円光大学・呉旻俊講師と四国大学・太田剛准教授、九州女子大学・古木誠彦准教授と県下の同胞、日本人ら約160人が参加した。

 宋実行委員長があいさつし「展覧会が日本をはじめ、世界各地で暮らす同胞たちに朝鮮文化の書芸を知らせるきっかけになることを願う」と語った。

 また、卞事務局長が「この会場の目前に広がる玄界灘は、かつて1世同胞が血の涙を流して渡った海であり、周辺には強制労働を強いられた八幡製鉄所と関門トンネルがある。在日同胞の歴史に深い関わりのある九州・福岡の地で開催する意義をみなで話し合って、今回のテーマを定めた」と2年間に及ぶ準備経過について報告。出品された作品には単なる趣味の域を超え、民族の文化をもっと内外に広く知らせたいとの思いが込められている、と強調した。

夫の望郷の思い託す

南から出品された作品

 宋実行委員長は、屏風に表した「明心宝鑑句」や「サランタリ」「山河」を出展した。3年前に他界した夫の「東熙氏は闘病中、歌手・五木ひろしさんの曲「山河」のテープをリハビリとして聴いていた。東熙氏は幼少の頃、八幡製鉄所の「募集」に応じた父を頼って慶尚南道の故郷を後にし、母に連れられ渡日した在日1世だ。生前、「必ず病気を治し、家族ともに故郷を訪れたい」との強い望郷の思いを、「山河」に託したという。

 太田准教授の作品「いろは歌」は日本のいろは歌をハングルで表したもの。「日本語とハングルのコラボレーションを通して日本と朝鮮半島の文化の歩み寄りができれば」との思いを込めたという。

 会場を訪れた宮本恵子さん(60歳、主婦)は、「各作者のメッセージが伝わってくる。作品を見て、朝鮮語が読めたらもっとすばらしい、朝鮮語を学ぼうと思うきっかけになった」などと感想を語った。

 呉旻俊講師は「書芸展の準備段階で交流が深まった。それは民族の統一へと近づいていく過程だ」と話した。(文=金静媛・総連山口県本部国際部長、写真=姜仙曾・文芸同東京写真部長)

[朝鮮新報 2009.3.19]