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広島朝鮮歌舞団が公演 中四国地方のウリハッキョを巡回

「同胞の愛と笑顔に支えられ」

 昨年6月から行われてきた広島朝鮮歌舞団のウリハッキョ巡回公演が2月10日、幕を閉じた。

 同歌舞団の巡回公演は、岡山朝鮮初中級学校から始まり、中四国地方にある5カ所のウリハッキョを巡った。生徒たちに民族の心や文化を伝える契機になることを目的に行われた。

 現在、同歌舞団の団員数は4人。学校で公演をするには人数が足りない。しかし、それを補うために話し合いを繰り返した。その結果、学校の教員たちの力を借り、舞踊「仮面の舞」を演目に取り入れ、舞台に上げることにした。

 その過程は、容易ではなかった。教員たちは学校の仕事を終えたあと、夜8時過ぎまで団員たちによる猛特訓を受けた。教員たちの苦労は想像を超えていた。なかでも、「仮面の舞」に登場する若い女性の役を見事に演じた男性教員たちは、教べんを執りながら練習に打ち込み、本番でその成果を披露、生徒たちから大きな拍手を浴びた。

5つの学校を回る
 

教員たちと力を合わせ披露した「仮面の舞」(四国初中)

 昨年6月14日、岡山初中で最初の公演が行われた。100人を超える観覧者が集う中、生徒たちに合わせた歌や歌舞団が創作した歌、サムルノリ、チャンダン体験など、多彩な演目を披露した。

 「仮面の舞」が始まると、会場には笑い声が響いた。最後に面を取り、顔を出すと歓呼の声があがった。公演後、生徒たちは感想文と記念写真を同歌舞団に贈った。

 7月19日、30度を超える猛暑の中、四国朝鮮初中級学校に向かった。早朝にもかかわらず、教員たちが温かく迎えてくれ、衣装や機材を一緒に運搬してくれた。

 この日は、30人の教職員と生徒のみならず、70人以上の日本市民と同胞たちが足を運んだ。公演プログラム以外にも、生徒たちもともに舞台に上がった。同校の卒業生・鄭栄姫団員は、「母校で公演をすることが夢だった」と涙ながらに語った。

 9月9日、広島朝鮮初中高級学校で、5人の教員たちとともに「仮面の舞」を披露すると、幼稚園児から高級部の生徒まで大きな拍手が起こった。
 

サムルノリ(山口初中)

 10月5日、山口朝鮮初中級学校では授業参観の日に公演が行われ、同胞や日本市民、新聞記者らが大勢駆けつけた。

 統合間もない同校で、団員たちは生徒たちに喜びと笑顔を与えようという一心で舞台に立った。

 公演を観た父母らは、「本当にすばらしい公演だった。生徒たちのあんな笑顔を久しぶりに見て、なお感動した。また必ず公演をしにきてほしい」と口々に話していた。

 今年2月10日、最後の公演は姜成美団員の母校でもある徳山朝鮮初中級学校で行われた。生徒たちに熱い民族の心を存分に伝えたいという団員たちの思いがあふれた舞台となった。

 厳しい環境の中で学んだウリマルと朝鮮の文化。生徒たちは公演の感想を述べながら、ウリハッキョで学んだすべてがかけがえのない宝物だと話した。

このうえない幸せ

 公演地ごとにもらった笑顔、同胞たちの愛−歌舞団にとって、どんな財産よりも貴重であり、価値があるものだった。

 後日、ある学校を訪れると聞こえてきた「歌舞団ソンセンニム、アンニョンハシムニカ!」という元気な声に励まされた。

 この巡回公演を機に団員一同は、今後は地域の支部や分会を訪れ、公演を繰り広げようと新たな決意を胸にしている。【広島朝鮮歌舞団】

[朝鮮新報 2009.3.13]