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映画「星の流るるせせらぎの辺で」 企画から4年の歳月へて完成

同胞青年の成長、胸打つ

 朝鮮大学校の創立50周年に際し、製作発表された映画「星の流るるせせらぎの辺で」(脚本=金元培さん・文学部31期生、監督=金正浩さん・文学部25期生、105分)が企画から4年、撮影から2年の歳月をへて完成した。1月24日、彩の国ビジュアルプラザで完成披露試写会が行われた。

卒業生たち手作りのセット

 企画、制作を担当したのは文学部連合同窓会。白源桓会長は「文学部らしい、誇りある物作りを通して、朝大の存在意義を示したかった」ときっかけについて語る。

 在日朝鮮人をテーマにした映画はこれまでにも作られてきたが、朝大在校生、卒業生の手によって製作された映画は今回が初めてだ。朝大、民族教育の伝統と歴史があってこそなしえた事業といえる。

 物語の舞台は朝大だ。現役の朝大生が演じる主人公「チョンソン」は、勉強もでき友達との付き合いもそつなくこなす「優等生」だが、どこか頼りない。誠実ではあるが、何を学ぶために朝大に来たのか確固たる自覚はなく、中途半端な意識しかない。

 彼は「夢」と「民族」の狭間で苦悩するヒロイン「ソンファ」と出会い、自分の「根っこ」がないことに気付く。

 「朝鮮大学の空にしか見えない星があるんじゃねえの?」−友人の言葉に、今なすべきことへの模索が始まる。ありのままの同胞たちとそれを取り巻く社会を目の当たりにし、それぞれの存在の意味を確認することで、「チョンソン」は自身の「空洞」を埋めていく。

 流されるだけの存在だった主人公の成長を通して、「父母たちが歩んだ道」と「子どもたちの歩む道」が描かれていく。

 全編から、「在日を描いた映画には、暴力や貧困ばかりがクローズアップされている」「なんでもっと活気に満ちたものが描けないんだ」という監督、脚本家の想いが滲んでくる。

 ありのままの楽観的な生活を描くために、障がい児の音楽サークルであるtuttiのメンバーも出演している。当然ながら彼らも同胞社会の一員だからだ。「知ることが何よりも大事なことだ」と監督は訴える。

 試写会に参加した同胞たちは口々に「元気が沸いてくる」「偽りのない生活の断面を通して、よくぞ心情を代弁してくれた」「在日同胞文化の新しい前例になる」と賞賛を送った。

 東京中高の愼吉雄校長は、「生徒たちにも見せたい価値ある作品」と太鼓判を押した。

 卒業生、在校生が製作、出演する、いわば「素人」による手作りの作品だけあって、つたない部分も多いいが、心温まる作品といった声が大勢を占めた。

 朝大創立50周年記念事業実行委員会・朴忠佑委員長は、「胸を強く打つ作品」と述べ、いくら立派ではあっても技術だけでは人も心も動かせないと指摘した。そして、この作品を持って創立50周年記念事業を終えることが出来て、とても光栄だと語った。

 製作委員会は、各地で上映会を開いていきたいと意欲を見せている。

 映画、上映会に対する問い合わせは朝大文学部連合同窓会事務局へ(TEL 0423−411−1331)。

写真提供=製作委員会

(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2009.2.9]