〈朝鮮と日本の詩人-77-〉 三石勝五郎 |
「血を流した夕焼けの空」 朝鮮は石の国 赤い線の丘と 国にほろびても海の碧 血を流した夕焼けの空で 岩山の 右に挙げた3つの詩は、植民地化の朝鮮の風景を象徴的にうたった哀愁の詩である。李白の「春望」の第1行「国破れて山河在り」を思わせる響きがある。3編に通底するモチーフは国を奪われた朝鮮人民への同情と痛惜の情である。 敢えていえば、「血を流した夕焼けの空−」という1行を朝鮮民族の「恨」「たたかい」と解釈することもできる。 この詩人には、このほかにも強制連行された朝鮮人の苦痛を主題にした「一杯の酔いどれ」という作品がある。 三石勝五郎は1888年に長野県佐久郡に生まれ、91年に早大卒業後、釜山日報の記者を務めた。詩集「火山灰」「散華楽」があり、2001年に全詩集が刊行された。(卞宰洙・文芸評論家) [朝鮮新報 2009.1.13] |