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〈全国朝鮮歌舞団講習を取材して-下-〉 「同胞がいるから歌舞団がある」

「ウリ歌舞団トンム」と呼ばれるよう

歌手全員で発表した合唱「将軍星」

舞踊家たちの練習風景

 今回の全国講習(08年12月8〜11日)を通じ、技術や理論を学び、各地の団員たちと悩みや葛藤、心情を分かち合った団員たちの胸は、希望で満ちあふれている。

 金妙穂さん(22、福岡)は、「各地の団員たちと練習し、話し、時間をともにする中で、難しいのは私たちだけじゃない、みんな同じ志を持っているんだと勇気をもらった。また、歌舞団の重要性、役割をあらためて認識できた。いつまでもこの火が消えないよう守っていきたい」と語った。

 河弘哲さん(29)が団長を務める広島歌舞団には、「華の会」というファンクラブがある。その中には同胞はもちろん、日本市民もいて幅広い。「大衆の中に根を張ろうとすれば、文化芸術の力は大きい。これを武器にする歌舞団は、同胞たちの中で生まれた尊い宝もの。どんな時も常に新鮮な心持ちで、その旗を守り抜きたい。これからも、クリエーターとして、アーティストとして、同胞たちに心から喜んでもらえる活動をしていきたい」。

活力は同胞

歌舞団はいつも同胞の中にいる(写真は和歌山初中創立50周年記念式典)

いっそう交流を深め合った団員たち

重唱練習に熱をあげる男性歌手たち

 各地方のどの団員もみな、共通して口にすることがある−「同胞がいるから歌舞団がある」。

 そう、歌舞団の周りにはいつも温かく見守ってくれる同胞がいる。同胞なくして歌舞団は語れない。歌舞団の活力は、まさに同胞なのだ。

 梁利奈さん(26、大阪)は、6年前、拉致問題で同胞社会に衝撃が走った当時を回想する。「9月17日、ちょうど敬老会と重なっていて。私自身も困惑していて、ハラボジ、ハルモニの前にどんな顔をして出たらいいのか動揺を隠せなかった。しかし、いざ舞台に立つと、ハラボジ、ハルモニはいつも通り温かく迎え入れてくれ、逆に私たちを励ましてくれた。この一瞬で不安が一気に吹っ飛んだ。難しい時だからこそ踏ん張ってがんばろうと思った」とほほえんだ。

 金赫淳団長(40、東京)は18歳で歌舞団に入団し、22年間さまざまな経験を重ねてきた。厳しい朝・日関係、経済不況…外で活躍する人たちを目にして、意気消沈したこともあった。「華やかなステージは一時かもしれない。けれども、自分の歌に心底喜んで拍手を送ってくれる同胞の姿に、いくつもの壁を乗越えてきた」と語る。

 「私がこうしてがんばれるのは、互いに刺激し合い、成長し合えるかけがえのない団員たちと、何よりも、常に気にかけてくれ、アドバイスをくれる同胞ファンのおかげ。だから、歌舞団が同胞の生活により近い存在でいられるよう、3人で奮闘していきたい」と鄭晃代団長(26、東海)。

 入団9年目の田房子さん(27、大阪)は、4年前にアボジを亡くした。気を落とし、いろんな事情を考えた時、「退団」の2文字が頭をよぎったが、「歌舞団で活躍する房子がアボジは好きだった」と、悩んでいる田さんの背中を兄弟が力強く押してくれ、再び活動を始めた。そして、そこには「温かく支えてくれる団員と、同胞の笑顔があった」と屈託のない笑顔を見せた。

「互いにがんばろう!」

舞踊「朴淵瀑布」(2組、発表会)

 この講習の責任者、趙正心大阪歌舞団団長(41)。忙しい中、各地の団員たちのため、心血を注いできた。「もっともっと団員数を増やし、大きな団にしたい。団員らが歌舞団に入って良かったと思えるよう、引っぱっていきたい。また、同胞たちからいつまでも『ウリ歌舞団トンム』と呼ばれるよう、力の限りを尽くしたい」と力強く語った。

 「お互いにがんばろう!」と、帰路に着く団員たちの晴れ晴れとした表情。いつまでも同胞の中で「ウリ歌舞団トンム」と呼ばれるよう、どんな逆境にも負けず、朝鮮民族の持つ楽天的な気質でやり抜こうと約束し、それぞれの帰路についた。

 「同胞たちの喜びが歌舞団の幸せ。同胞のいる所ならどこへでも駆けつけていく」と、さわやかな笑顔を残して−。(姜裕香記者)

[朝鮮新報 2009.1.13]