2009年の朝鮮外交 関係拡大、発展の流れ定着 |
朝中 関係いっそう強固に
国交樹立60周年にあたる今年を「友好の年」に定めた朝鮮と中国。2009年は、60年にわたる朝中親善の歴史を評価し、新時代の両国関係の展望を内外に示した年になった。 両国は年間を通じて、「朝中友好の年」を記念する交流、協力事業を政治、経済、文化など多方面にわたって展開した(表2参照)。 とりわけ、高官の往来は例年にも増して活発だった(表1参照)。
朝鮮は金英逸総理を団長とする政府代表団を筆頭に、労働党代表団や外務省代表団を派遣。中国側からも共産党の王家瑞対外連絡部長(1月)、戴秉国国務委員(9月)、温家宝首相(10月)、梁光烈国防相(11月)をはじめ、国家と党、軍の幹部が数多く訪朝した。
金正日総書記は上記の4氏と単独で会見。友好親善関係のさらなる発展や朝鮮半島の非核化など、双方が関心を持つさまざまな問題について話し合った。とくに、温家宝首相の訪朝は今年の朝中関係を象徴するハイライトだった。双方は親善関係の伝統と、変化する国際環境の中で追求すべき共通の利益を確認した。 総書記は温首相との会見で、朝鮮半島非核化は金日成主席の遺訓であると強調、朝米直接会談を通じて両国間の敵対関係を必ず平和的な関係に転換するべきであると述べた。また、朝米会談の状況を見たうえで多国間会談を行う用意を表明し、多国間会談には6者会談も含まれると述べた。 一方、朝中総理会談の結果、鴨緑江大橋の建設をはじめ経済、教育、ソフトウェア産業などの分野で協定および合意文書が調印された。 「朝中友好の年」行事もさまざまな形で行われた。とくに閉幕行事は10月5日夕、金正日総書記と温家宝首相出席の下、平壌のメーデースタジアムで盛大に催され、大マスゲームと芸術公演「アリラン」の特別編も披露された。 「朝中友好の年」は両国関係の新たな出発点になった。伝統的な友好関係はさらに高い段階に入ったといえるだろう。 朝中関係発展に対する朝鮮側の立場は一貫している。「両国の老世代の指導者が作り上げた伝統的な親善関係の継承に最大の関心を払う」(労働新聞10月4日付)というものだ。 中国側も「伝統継承、未来志向、善隣友好、協力強化」の方針の下、中朝関係を高度に重視する姿勢を一貫して強調している。 朝ロ 外相、下院議長が訪朝 昨年、国交樹立60周年を迎えた朝ロ関係は今年、目立った動きが少なかった。 セルゲイ・ラブロフ外相とセルゲイ・ミロノフ連邦会議(下院)議長が4月と11月にそれぞれ訪朝したのが主だった活動として挙げられる。 ラブロフ外相の訪問は、朝鮮が4月5日に人工衛星を打ち上げてから初の外国要人の訪朝ということで注目を集めた。同氏は滞在期間、朴宜春外相と会談し、金永南委員長に金正日総書記宛のメドベージェフ大統領の親書を手渡した。 ミロノフ議長の訪朝は、議会関係だけでなく、両国の全般的な関係の拡大、発展に寄与する機会になったと意義づけがなされた。 EU 対仏関係改善に注目
対欧州外交の面では、フランスとの関係改善の動きが注目を集めた。 同国のジャック・ラング大統領特使が11月9〜13日の日程で訪朝、朴宜春外相や最高人民会議常任委員会の金永南委員長ら朝鮮側の高官と会談した。双方は両国関係をはじめ相互の関心事となる一連の問題について、計10時間あまりにわたって意見を交換したといわれている。 フランスはEUの主要加盟国中、唯一朝鮮と国交がない。サルコジ大統領から国交樹立の検討に関する要請を受けたラング特使は今回、大統領の特別メッセージを携えて訪朝した。同氏は13日、訪朝を終え北京で行った会見で、「朝鮮政府高官との話し合いは率直で、とても誠実なものだった」としながら、「サルコジ大統領が望むなら、再び訪朝する用意がある」と述べた。帰国後には、「北朝鮮に関する報告書を大統領に提出し、大統領が判断する」と述べ、フランス政府が朝鮮との国交樹立を検討することを明らかにした。 ラング特使は今月16日、下院外交委員会に出席し、朝鮮との交流促進に向けて平壌に実務レベルの文化協力事務所を開設する考えを明らかにした。 また、英国との関係発展の動きも目立った。 1〜2月にかけて朝鮮労働党代表団と英国国会代表団が相互訪問。関係者らと面会し、幅広い分野で対話と交流を促進していくことについて話し合った。 朝鮮労働党代表団は英国滞在期間、同国外務省の関係者および欧州議会の議員らと会った。また、ケンブリッジ大学を訪れ、アジア問題専門家、研究者らとの意見交換も行った。 朝鮮側はEUとの関係進展に対する積極的な意志を表明し、EU側に再生エネルギー関連技術の提供も要請した。 00年12月の外交関係樹立後、朝英両国の間ではさまざまな分野で交流が進んでいる。「議員外交」も活発だ。 ほかにも今年、欧州議会社会党グループ代表団(3月)、EU巡回議長国と執行委員会、理事会事務局の代表で構成されたトロイカ代表団(10月)も訪朝した。 朝鮮は00年以降、EU加盟諸国と相次いで国交を樹立。01年5月にはEUと外交関係を結んだ。トロイカ代表団は98年からほぼ毎年、朝鮮との政治対話を行っている。 アジア、中南米諸国など 幅広い交流進む アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国との交流も活発だった。
金永南委員長は5月8〜10日、南アフリカを訪問し、同国のジェイコブ・ズマ新大統領の就任式に参加した。11日にはジンバブエを訪れ、ロバート・ムガベ大統領と会談した。
キューバとは外相の相互訪問を行なった。朴宜春外相が非同盟運動調整委員会の閣僚会議(4月29〜30日)に参加するためキューバを訪問、同国のブルーノ・ロドリゲス・パリージャ外相と会談した。両国外務省間の協力に関する合意書も調印された。 朴外相はその後、ペルー、ブラジルを歴訪した。 一方のロドリゲス外相も政府代表団を率いて、9月3〜5日に訪朝。朝鮮側との会談では、両国の伝統的な友好・協力関係を今後も引き続き発展させていくことが確認された。 ほかにも、エジプト、タイ、ラオス、シリア、シンガポール、コンゴをはじめとする多くの国から政府レベルの代表団が訪朝した。 また、今年は朝鮮が重視する非同盟運動においても、7月にエジプトで第15回非同盟諸国首脳会議が開かれるなど節目の年だった。朝鮮は金永南委員長を団長とする代表団が会議に参加した。 [朝鮮新報 2009.12.18] |