ソウルで6.15共同宣言9周年講演会 「宣言履行で南北関係改善を」 |
李明博政権の決断求める 6.15北南共同宣言発表(2000年)9周年を迎えた南朝鮮で、北南関係の現状を憂慮し、李明博政権に宣言の履行を求める声があがっている。11日、ソウルでは金大中元大統領など各界人士の出席のもと、「6.15南北共同宣言9周年記念特別講演会」が行われた。また、市民・社会団体メンバー、学者、研究者らによる「6.15共同宣言9周年記念討論会」も開かれた。両行事では、最悪の状況にある北南関係を打開するために、南朝鮮当局に6.15、10.4両宣言の履行を求める声が相次いであがった。さらに、強圧的な国政運営で民主主義を危機に追い込んでいる李明博政権に対する非難も沸き起こった。
民主主義の危機克服
6.15南北共同宣言9周年記念特別講演会には、民主党の鄭世均、民主労働党の姜基甲、創造韓国党の文国現代表ら野党議員40余人と玄貞恩・現代グループ会長、金大中、盧武鉉政権で統一部長官を務めた丁世鉉、李在禎氏、6.15共同宣言実践南側委員会の白楽晴名誉代表など各界の人士1100余人が出席した。 講演会では金大中元大統領が演説を行った。 金元大統領は李明博政権を「独裁政権」と厳しく批判し、「過去50年で血を流しながら勝ち取った民主主義が危機に陥っている」と李政権下の南朝鮮の現状に憂慮を示した。 元大統領は民主化実現に向けた闘争の歴史を回顧しながら、「われわれは、独裁者が出現しても必ずそれを克服し民主主義を取り戻してきたことを思い出すべき」だと述べた。そして現在の状況について、「この地に独裁がよみがえり、貧富の格差が史上最悪の水準で広がっている」と指摘、「独裁者に頭を下げることがあってはならない」と述べた。 また李明博政権に対して「万一、現在と同じような道を進むなら、国民と政府両方が不幸になるだろう」とし、大統領が「大きな決断」を下すよう求めた。 さらには、「すべての人びとが行動する良心になり、自由と庶民経済、平和な南北関係を守るために立ち上がろう。人びとが安心して暮らせる社会を作ろう」と大衆レベルの具体的な行動を呼びかけた。 北南関係については、「前職大統領2人が合意した6.15、10.4両宣言を必ず履行すべきだ。そうすれば問題は解決する」と、当局に宣言履行を強く求めた。具体的には金剛山観光の再開、開城工業地区の寄宿舎建設などに言及し、南側当局がこれらの事業に対する履行意志を宣言すべきだと述べた。 一方、金元大統領は5月23日に死去した盧武鉉前大統領との思い出を振り返りながら、「盧前大統領が生前、(「不正資金疑惑」で)苦しみを味わっていた時、今回の弔問者の10分の1にあたる50万人だけでも、『確実な証拠もなしに前職大統領に対して精神的打撃を与え、恥をかかせてはいけない』という声をあげていたら、彼は死ななかったはず」と述べた。 この日の行事では、金元大統領の演説のほかにも、2000年の北南首脳対面と6.15共同宣言にゆかりの深い朴智元・民主党議員(当時、文化観光部長官)、林東源・ハンギョレ平和財団理事長(当時、国家情報院長)、文正仁・延世大学教授(南側代表団の特別随行員)が宣言発表後の9年間を振り返り今後の情勢を展望する講演を行った。 対北政策転換が必要 一方、ソウルの国会図書館で開催された6.15共同宣言9周年記念討論会には、野党人士と市民・社会団体メンバー、学者、研究者ら専門家が出演。6.15共同宣言の意義をあらためて強調し、危機的状況を迎えている北南関係の解決策として、南側当局の対北政策転換と、6.15共同宣言の履行を主張した。 鄭世均・民主党代表は祝辞で、「現在の朝鮮半島情勢は一歩先も見通すことのできない状況にある」との認識を示したうえで、「朝鮮半島の平和プロセスを再び救い出さなければいけない」と述べた。 金済南・市民平和フォーラム運営委員長は、「『待つことも戦略』と言いながら行動しないのは、南北関係の戦略不在を示す実例」だとし、李政権に対して問題の解決に取り組むよう求めた。 梁茂進・北韓大学院大学教授は、「南北関係の悪化を防ぎ、核問題の解決する現実的な方法は6.15共同宣言の実質的履行を通じて朝鮮半島の平和定着を進める以外にない」と強調した。 李永順・民主労働党最高委員も、李明博大統領が6.15共同宣言発表9周年に合わせて、6.15、10.4両宣言を認め履行するという意志を明らかにし、北側に南北高位級会談の開催を提案するべきだと述べた。 一方、同討論会の基調発言を行った6.15共同宣言実践南側委員会の金祥根常任代表は、6.15共同宣言の各項目に対する分析に基づいて「6.15共同宣言実践運動」を提案した。(相) [朝鮮新報 2009.6.15] |