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〈論調〉 核戦略報告書の反平和的な性格

 超党派の米議会委員会が最近、核兵器のない世界は果てしなく遠いので、「世界の政治秩序の抜本的な転換」が起きるまで米国は「確実で信頼できる核抑止力」を保有しているべきであるということを骨子とする核態勢戦略報告書を作成して提出した。

 同報告書は本質において、近代的な核武力の増強と、核恐喝政策の強化を提唱した反平和的文書である。

 西側のマスコミは「核超大国」の地位の維持・強化を狙った米国の「核態勢戦略報告書」を非難しており、本土だけでなく、欧州をはじめ世界の各地域に多くの核兵器を備蓄しておきながら朝鮮の「核の脅威」を騒ぎ立てる米国を嘲笑している。

 ドイツ各紙は、西側の核兵器は良くて西側以外の国の核兵器は悪いという論理は誤ったものであり、こうした二重基準が核拡散防止条約(NPT)の存在を弱めたと評した。
 また、オバマ政府は欺まん的な「すべての核兵器の撤廃」を主張することにより、核問題における二重基準に対する米国への非難の度合いを弱め、NPTの維持を通じて核兵器保有国の増大を防いで核超大国としての地位を引き続き維持しようとしていると明らかにした。

 こうした論調は、米国の核政策の不当性と国際的な核拡散の張本人、核の脅威の主犯は米国であることを立証している。

 世界で最初に核兵器をつくって人類に核の惨禍を浴びせたのも米国であり、国際的にもっとも多くの核兵器とミサイルを保有している国も米国である。核およびミサイルの武力で他国に対する威嚇と恐喝に明け暮れているのも米国である。

 核兵器の近代化を狙った執ような核実験、核兵器小型化策動、同盟国、追従勢力の核武装化に対する積極的なひ護、助長など、米国の無謀な核政策の強行により人類は恒常的な核の脅威のなかで暮らしている。

 とりわけ、朝鮮半島は米国による核の脅威と核戦争の危険がもっとも大きい地域となっている。

 朝鮮と米国は先鋭な軍事的対決状態にあるだけでなく、法的にも戦争状態にある。南朝鮮とその周辺、米国本土にある核兵器とミサイルが朝鮮を攻撃の圏内に収めている。

 核の脅威、核戦争の危険の禍根はまさに米国である。(労働新聞5月27日付論評)

[朝鮮新報 2009.6.3]