朝鮮マジック 世界進出へ、FISM加盟に支持の声 |
【平壌発=文・呉陽希、写真・文光善記者】朝鮮マジシャンの世界進出に期待が高まっている。4月、マジック協会国際連合(FISM)のドミニコ・ダンテ副委員長が第26回4月の春親善芸術祭典(4月10〜18日)に参加するため平壌を訪れた。朝鮮マジック協会のキム・テクソン会長によると、ダンテ副委員長は、朝鮮マジシャンのレベルの高さに驚きを示しながら「朝鮮のFISM加盟を全面的にバックアップしていきたい」と話したという。
祭典きっかけに
朝鮮は2006年にFISM加盟に向けて動いたが、結局実現しなかった。 キム会長によると、「マジックの技術の問題ではなく、ほかの加盟国の賛同を得る問題で引っかかった」という。 FISMに加盟すると、同連盟主催の大会などさまざまな国際大会に出演できる権利が与えられる。また、加盟国は世界的なマジック発展のすう勢に関する各種の資料を交換したり共有したりすることができる。 連盟に未加入の朝鮮マジシャンは、どんなに高い技術を持っていても順位を競う国際大会には出場できない。活躍の場は祝賀公演や招待公演などの舞台に限られる。 「鼻っ柱の強い外国人マジシャンの多くが、われわれのマジックを見た後は態度を一変させる」とキム会長が話すほど、朝鮮マジシャンのレベルは高い。 4月10日から18日まで平壌で開かれた4月の春親善芸術祭典は、キム会長の話を実際に証明する場になった。 高い技術に感嘆
今回の祭典には中国、米国などのマジシャンとFISMのドミニコ・ダンテ副委員長らが参加した。 外国人マジシャンの訪朝実現に尽力した在日同胞マジシャンの安聖友さんは、「今回の訪問を通じて各国のマジシャンたちが朝鮮に対して非常にいい印象を持った」と振り返る。彼らは「首都・平壌でマジック専門の劇場を運営するなど、朝鮮がこの分野の発展に国家的な関心を注いでいることも評価していた」という。 外国人マジシャンたちは滞在期間、平壌サーカス劇場に併設されたマジック劇場などで公演を行った。朝鮮側マジシャンとも交流を深めた。 朝鮮マジシャンのパフォーマンスを見たダンテ副委員長は「想像を超えたレベルだ」と驚きを隠せない様子だったという。 米国人マジシャンのデイル・サルウォークさんは、「米国から朝鮮までは6300マイルの距離があるが、今回はとても短く感じた。朝鮮で友人を見つけ、公演にも参加して、とても満足している」と感想を述べた。 中国から来た徐秋さんも、「朝鮮の特色のあるマジックを見て学ぶことが多かった」と話した。 ダンテ副委員長は「世界各国のマジシャンと朝鮮のマジシャンが同じ舞台に立てば、すばらしいパフォーマンスを見せてくれるだろう。朝鮮のFISM加盟は実力面からしても十分に可能だ」と断言した。 次世代育つ キム会長は、朝鮮マジック界の前途には明るい展望が開けていると強調する。 国内マジック界の中心ともいえる平壌サーカス団所属のマジシャンの平均年齢は27歳と若い。 キム会長は、1960年代から80年代にかけて朝鮮マジックの全盛期を牽引してきた人物だ。第一線から退いた後、現在は後進の指導にあたっている。「世界的な人材、国際大会で上位に入って世界の頂点に立てるマジシャンを育成してきた」と自負する。 10年前、平壌サーカス学院にマジック講座が開設された。毎年5人ほどの生徒を受け入れ、世界のトップを目指している。 「朝鮮には専門的な教育を受けたマジシャンが多い。彼らの上達速度は私の現役時代よりも速い」(キム会長) マジックとは常に新たな技術、新たな表現を追求する営みだ。平壌サーカス団では今年、10篇の新作品を発表する予定だという。 [朝鮮新報 2009.5.9] |