朝鮮メディア 独自の視点で分析 イスラエルのガザ侵攻、ドル危機 |
米国の独善と侵略性あらわ 米国発金融危機が引き起こした世界金融危機はいまだ歯止めがかからず、ドルに対する信頼が揺らいでいる。一方、昨年12月27日の空爆を皮切りにしたイスラエルのガザ侵攻によるパレスチナ側の死者は1200人を突破し、負傷者は5000人を上回った(17日現在)。朝鮮のメディアはこれらの問題を独自の視点から分析している。記事には米国の一極支配や中東政策に一貫して反対してきた朝鮮の立場が反映されている。 「ユーロの地位強化、ドル押される」 10日発朝鮮中央通信は、ユーロが導入(99年1月1日)されて今年で10年を迎えることで「米国ドル中心の古い金融秩序に挑戦しているユーロ」と題する記事を配信した。 同通信は、EU(欧州連合)加盟国のなかでもユーロを導入しなかった英国などが世界金融危機の大きな被害を受けている事実に言及し、「ユーロがなかったなら欧州諸国の被害はもっとひどかったはず」だという専門家の分析を紹介しながら、ユーロ導入の意義を強調した。そして、今回の世界金融危機がドルに対するユーロの地位を強化する「新たな契機」になっていると指摘した。 「ユーロの出現は、米国の支配と隷属から脱して独自に発展しようとする欧州諸国の長期にわたる努力の結実」だと評価した。 また、米国主導の国際金融体制であるブレトンウッズ体制の変遷について説明し、その崩壊を背景に欧州諸国がドルに対抗する独自の単一通貨導入に着手したと説明。そして、こうした動きは「冷戦後、国際関係の多極化のすう勢の中で本格化された」と付け加えた。 さらに、「ユーロ圏が拡大し、国際金融取引でユーロの比重が日々拡大しており、ドルがユーロに次第に押されるすう勢が顕著に現れている」との現状認識を示した。 通信はそれを説明するものとして、ユーロ導入国の増加、各国中央銀行の外貨準備のユーロ切り替えなどを挙げた。 同通信は、発展途上国に対する米国の制裁が「国際金融および貿易市場でユーロの地位を高める結果を招いている」とも指摘。02〜05年のユーロ比ドル下落率に言及したうえで、ユーロ相場は世界金融危機により「やや落ちた」が、「比較的安定」した状態を保っていると分析した。 さらに、「ユーロの地位強化とともに、世界的範囲で地域的な単一通貨でドルに立ち向かうための動きが活発になっている」としながら、これは世界の多極化を積極的に促すものとの観測筋の見通しを紹介した。 そのほか、民主朝鮮08年12月29日付は「世界は、独善的で侵略的な米国に幻滅し、米国主導の世界の一極化から多極化へと発展方向を定めた」と指摘。8日発朝鮮中央通信は「支配主義と覇権主義を排し、正義と平等に基づく新しい国際秩序の樹立へと向かうのが時代の流れになっている」との見方を示した。(呉陽希記者) 「イスラエルあおった米の代理戦争」
7日発朝鮮中央通信は、イスラエルのガザ侵攻について、「現米政権(ブッシュ政権)の8年間の執権期間、イスラエルをあおって中東地域で挑発した2回目の代理戦争」だと指摘した。 また、「反テロ」の美名のもと、パレスチナ人に対する反人倫的殺りく蛮行をいっそう拡大しているイスラエルの無謀な戦争策動だと非難した。 通信は、各国でイスラエルの侵略行為と米国の不当な中東政策を非難する声があがっていることに共感を示す一方、米国のイスラエル「ひ護」について指摘し、これを今回の侵攻の前提にすえた。 そして、イスラエルがガザ地区への大規模な軍事攻撃計画を実行に移すまでの一連の流れについて述べた。 また、米国が昨年9月、イスラエルがガザ地区への空襲に利用できる、GBU39GPS誘導爆弾1000個を購入することを承認し、12月初めにイスラエルに到着したこの武器が、今回の空襲で主な攻撃手段に利用された事実に言及した。 同通信は、イスラエルと米国がガザ侵攻を通じて政治・軍事的にさまざまな目的を追求していると指摘。 その内容として、イスラエル当局が2月10日に総選挙を控え低迷する与党支持率を巻き返そうとしていることや、米国が中東政策の失敗を覆い隠そうとしていることなどを挙げた。 一方、労働新聞8日付は「複雑多端な中東地域情勢は何を示すのか」と題する論説で昨年、中東諸国で衝撃的な事件が多発したのは、同地域に米国が深く「介入」したからだと主張した。 [朝鮮新報 2009.1.21] |