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日本との「反北共助強化」に南世論反発

「朝鮮半島平和、より遠ざかる」

 南朝鮮と日本の両首脳が12日ソウルで行った会談は、情勢の変化に対応できず窮地に立たされた執権者の危機的状況を物語っている。会談終了後開かれた共同記者会見では、昨年4月に合意した「未来志向的な成熟したパートナー関係」を再確認し、金融危機克服に向けた経済協力増進などその実践に向け多角的に努力することで一致したと発表した。また、「北の核問題」での連帯強化を強調した。6者会談の流れに逆行して北に制裁・圧力をかけ続ける日本と、民族を放棄した南側の結託は、大きな危険性をはらんでいる。政権への支持率が20%前後と低迷している同士の会談に注がれる視線は冷やかだが、憂慮は絶えない。

「北南関係を破局へ」

麻生首相の訪問に反対し記者会見を開く漢陽大学学生ら [写真=聯合ニュース]

 麻生首相は記者会見で、「大統領からは、韓国も同様な拉致問題を抱えている、この現実を踏まえて日本の拉致問題解決のための努力への支持を、改めて表明をしていただいた」と語った。これは、南側が日本との「反北共助」を積極的に推し進めようとしていることを十分に示している。

 周知のように、米国に対して朝鮮を「テロ支援国」リストから削除しないよう執拗に働きかけるなど、非核化プロセスを妨害してきた日本は、6者会談とは何ら関係のない拉致問題を持ち出し、参加国の義務であるエネルギー支援を怠っている。そして、孤立を深めた。

 一方、南側は内政や対北関係など数多くの問題を抱えている。

 金裕貞・民主党報道官は、「両国関係が近くなるとしても、朝鮮半島平和はより遠ざかるのではないか、朝米関係ばかりが接近するのではないかと懸念される」と指摘した。

 一方、北側は会談の前から「反北共助の強化」と位置づけて強く非難している。労働新聞11日付は、「南の保守当局と日本反動らの反北共助強化は、北南関係をさらに破局へと後押しする否定的な結果を招く」と指摘した。そして、「南と日本の間には独島強奪や歴史教科書歪曲騒動をはじめ矛盾する問題が山積しているにもかかわらず、李明博政権がこれらの問題を覆って野合し、反北対決を強化しようと企むのは事大売国的で反民族的な気質の発露」と李政権を非難した。

歴史問題棚上げ

 記者会見では、「これほど頻繁に日韓首脳が顔を合わせ、幅広い分野で協力を深めていることはこれまでになかったことだ」(麻生首相)と、両国関係の強化をアピールしてみせたが、関係はいつでも冷え込みかねない要素をはらんでいる。連合ニュースによると、青瓦台の関係者さえも、「独島(竹島)問題などが再び関係悪化の火種になる可能性もある」と話しているという。

 会談では、独島や歴史問題は議題にもあげられなかった。共同記者会見でもこの問題は一切触れられなかった。

 南の野党や市民団体からは、会談が独島や歴史問題などを棚上げして行われたことに対する不満が噴出した。

 野党側は、「共同記者会見では成果だけが強調されたが、同床異夢にもほどがある」(朴宣映・自由先進党報道官)などと批判した。

訪問自体に反対

 学生、市民団体からは、麻生首相の南朝鮮訪問自体に反対する声があがった。

 とくに麻生首相の訪問先である漢陽大学の学生らは、「招請した覚えはない」などと激しく非難した。

 学生らは11日、同校本館前で記者会見を行い、記者会見文を発表。「『従軍慰安婦』に対する歴史的事実をわい曲し独島強奪をあおったことに対する謝罪や前向きな立場表明なしに訪問することを問題視」しながら、「過去に対する反省を明確にすべき」だと主張した。

 批判の矛先は李大統領にも向けられた。

 会見文は、「麻生首相が暴言と妄言を吐きながらもこの地に足を踏み入れられたのはすべて李明博大統領のせい」だとしながら、「李大統領がまさに日本の不当な行為を容認した張本人」だと指摘した。

 一方、「韓国挺身隊問題対策協議会」「韓国女性団体連合」「全国女性連帯」など24の女性団体は9日、麻生首相の訪問に関する「われわれの立場」を発表した。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2009.1.19]