〈今月の金正日総書記−11月−〉 新設の経済施設視察 |
11月に報道された金正日総書記の活動は26回(祝電など除く)。そのうち軍部隊視察など軍関係は7回、経済視察は14回だった。 「工具革命」の口火切る 経済分野では新設された施設への視察が目立った。金津江旧倉青年発電所、大同江果樹総合農場、石井養豚工場、石井チャンアチ(野菜を塩やしょうゆ、みそなどで漬けた総菜)工場などだ。 29日発朝鮮中央通信によると、石井チャンアチ工場で総書記は、「わが人民が万難を排して強化してきたチュチェ工業が巨大な生産の潜在力を発揮し始めたことにより現在、わが国には歴史にかつてない大革新、大飛躍が起き、理想が現実のものとなっている」と指摘した。 現在、朝鮮では「100日戦闘」が展開されている。9月中旬に始まり12月末に終了する。その前には「150日戦闘」(4月20日〜9月16日)が行われた。これらのキャンペーンが繰り広げられるなかで、経済施設の新設などが相次いだことは、朝鮮経済の着実な発展を物語っている。国内では、「100日戦闘を勝利で締めくくることは来年にさらに高く、さらに速く飛躍するための極めて重要な事業」(12月1日付労働新聞)だと強調されている。 一方、23日発朝鮮中央通信によると、総書記は、平安北道の雲山工具工場を現地指導して「工具革命」の口火を切るようにした。 国内メディアが経済部門の指導に際して、「革命の口火を切る」などの表現を使用するのは、異例のこと。 総書記は、「主体的なCNC(コンピューター数値制御)工作機械による生産システムを全面的に導入して高速化、精密化を実現して先端を突破し、飛躍的に発展するわれわれの工業はそれにふさわしい高い水準の工具をより多く求めている」としながら、「最新科学技術に基づく現代的な工具が十分に供給されれば、機械製作工業を中核とするわれわれのチュチェ工業は、より高い段階へ跳躍することになる」と述べた。 さらに「工具革命」を起こすために、1年の間に工場を最新技術で装備されたモデル工場に立派に整えることに関する課題を示した。 労働新聞に特集
11月に報じられた総書記の活動回数は、今年2月(31回)の次に多い。とくに、28、29の2日間で6カ所(表参照)への視察が伝えられた。通常、6面編成の労働新聞は、30日付の紙面を10面に拡大し、1面から9面にわたり、これら視察内容を記事と写真で紹介した。 なかでも大同江果樹総合農場に関しては、12月2日付労働新聞が1万6千字におよぶ長文の政論を掲載。現地指導の際の具体的な内容をはじめ、農場建設でのエピソードなどを特筆した。 政論によると、総書記は昨年11月、平壌市三石区域円興地区に「平壌市民のための世界的な大規模果樹総合農場」の建設を発起した。建設中に出した指示も40数回におよぶ。 同農場には、果樹園だけではなく、学校、病院、託児所、幼稚園、文化会館、浴場など数十棟の公共施設と500余棟の住宅も建設された。 政論によると、総書記は朝鮮が果樹分野でも世界的な水準にいたったことを指摘し、人民に素晴らしい楽園を与えられたことに満足を示し、自身の「生涯の願いがかなった」と喜びを表した。 さらに、総書記は視察の際、今後の農場の生産能力を現在の4倍以上に引き上げることを課題として提示した。 同農場は、人民保安省関係者とその傘下の軍人らによって建設された。同月、総書記は人民保安省本部を視察するなど、同省関連施設への視察が相次いで報じられ注目を集めた。 東海岸農業に「奇跡」 朝鮮が金日成主席生誕100周年にあたる2012年に「強盛大国の大門」を開くうえで最重要視している課題のひとつが農産物の生産高を上げることだ。 総書記は11月、銀興協同農場(平安北道泰川郡)と東峰協同農場(咸鏡南道咸州郡)を訪れた。 この2つの農場は、2007年から嵋谷協同農場(黄海北道沙里院市)、三支江協同農場(黄海南道載寧郡)と1町歩(約1ヘクタール)当たりのコメの生産高を競っている。 総書記は今年だけでも東峰協同農場を2月、6月、11月の3度訪れた。競争対象の中で、同農場だけが地理的に農業に不利な東海岸側にあることもその理由のひとつだ。 12月2日付労働新聞政論によると、総書記は2月、東峰協同農場を訪れた際、今年の農業の方向性について農場員たちの相談に乗り、草取りが行われる6月には彼らを鼓舞し、収穫期の11月には1年の農作を総括した。記事には、これまで町歩当たりの最高収穫高が8トンにとどまっていた同農場で今年、表作と裏作それぞれ11トン、15.4トンを収穫したことが明らかにされている。 総書記は同農場の今年の収穫状況に満足を示し、「東海岸での農業に奇跡が生まれた」と評価した。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2009.12.9] |