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朝鮮で文化施設リニューアル 福利増進、水準の向上目指す

 朝鮮で金日成主席の生誕100周年にあたる2012年を目標に国内の経済建設が進められる中、劇場のリニューアルや新設など文化施設の再整備事業も活発に行われている。経済水準の引き上げとともに「人民の福利増進」をはかることが国家的な政策のひとつとして重視されている。

「世界レベル」の劇場

松涛園青年野外劇場(盧琴順記者撮影)

 今年に入って赤星劇場(平壌)、平壌大劇場、葛麻劇場(元山市)、黄海北道芸術劇場、松涛園青年野外劇場などの文化施設が改修または新設された。

 関係者によると、これらの事業には国家的に大きな関心が寄せられており、照明、音響設備などの舞台装置や楽屋、客席、売店の内装や備品にいたるまで「世界レベル」が求められた。

 近年、朝鮮では文化施設の補修、改修が相次いでいる。ここ数年の間に東平壌大劇場、牡丹峰劇場、金元均名称平壌音楽大学、大同門映画館などがリニューアルされた。

 このような背景には、2012年に強盛大国の大門を開くという国家的な構想がある。国を挙げて推進している「2012年構想」は、単なる経済面での飛躍だけを目指しているのではなく、人びとの生活の質的な向上も重視している。とくに、文化・芸術分野を通じて市民の教養を培い生活レベルを高めようとしていることは、施設建設のみならず、公演内容などの変化からもうかがえる。

 ニューヨーク・フィルハーモニックの平壌公演(08年2月)をはじめ、ロシアの舞踊団や合唱団、管弦楽団、「4月の春親善芸術祭典」など、世界各国のアーティストの公演もこれらの劇場で上演されており、好評を博している。

各地の歴史遺跡補修

平壌大劇場で公演するロシア・モイセーエフ国立アカデミー民俗舞踊団(6月、文光善記者撮影)

 各地の歴史遺跡、名勝地の補修作業にも力が注がれている。

 今年、妙香山歴史博物館、朝鮮中央歴史博物館、元山歴史博物館、海州歴史博物館など、リニューアルが行われた。内容は、外装や内部の全面改修および部分補修、陣列形式の変更などだ。

 牡丹峰の玄武門、安州の百祥楼、泰川の陽和寺、北青の広済寺、燕灘の心源寺をはじめとする13の楼亭と寺も補修された。なかでも広済寺、心源寺は大雄殿、無量寿閣、普光楼をはじめとする寺の基本建物すべてに復元作業を施し、道路を新たに整備した。

 文化保存指導局関係者によると現在、平壌・大城区域では民俗公園の整備事業が国家的な関心の中で進められており、今後、プロジェクトに拍車がかかるという。

 約6万坪の敷地に建設される民俗公園には、原始時代から朝鮮王朝までの特徴的な住宅を原寸大で時代別に再現し、市民らが当時の生活を体験できるようにするという。また、高句麗壁画古墳や北関大捷碑などの歴史遺跡のレプリカも実物と同じサイズで制作される。現在、関係部門の協力のもと、公園に展示される数万点の遺物の準備作業が進んでおり、完成後は国内屈指の一大アミューズメントパークとなる。

 ほかにも、朝鮮中央歴史博物館をはじめ各地の歴史博物館改築作業を引き続き推し進めるとともに、七宝山の開心寺、満浦の洗剣亭、鏡城郡の郷校などの歴史遺跡に対する補修、改修が年内に終わる予定だ。

新作映画、続々登場

黄海北道芸術劇場の内部 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 映画部門も例年にないにぎわいを見せている。朝鮮は今年2月、内閣の傘下機関として国家映画委員会を設置した。「白玉」(1、2部)を皮切りに「白頭の白樺」「遭難」「私が見た国」(2、3部)、「訓練の一日」「生命線」など新作映画が続々と登場している。

 とくに、7月に封切られた「私が見た国」は、その完成度の高さから「先軍時代の映画革命の第一歩」と評価されている。

 88年に第1部が公開された同作品は、93年に第2部の制作計画が進められたがメインキャストの死去などによって見送られた。

 続編のシナリオを担当した作家のチェ・イルシムさんによると、再び制作の話が持ち上がったのは今年3月。すぐに取材や調査にとりかかり、5月からシナリオの執筆が始まった。脚本は17日間で完成し、6月初旬から27日間で撮影を終えた。

 この経験から映画部門では現在、「花を売る乙女」などの成功で「映画革命」と評された70年代の伝統をさらに高い段階へと発展させ、新たな「革命」を起こそうとしている。

 朝鮮映画文学創作社のリ・ヒチャン社長によると、映画部門では09年から12年までの3年間で100編の作品制作を目指している。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2009.11.18]