〈今月の金正日総書記−9月−〉 経済部門指導に比重 |
国内メディアが報道した金正日総書記の9月の公式活動は22回(祝電など除く)。「150日戦闘」の終了とともに「100日戦闘」が始まり、経済部門への視察が半数を占めた。一方、18日には胡錦濤・中国国家主席の特使として朝鮮を訪問した戴秉国国務委員一行と会見した。
「熙川速度」
17日発朝鮮中央通信によると、総書記は慈江道の熙川発電所建設場を現地指導した。同地への指導が報道されたのは今年3月に続き2度目だ。 同通信によると、総書記は熙川1号発電所の竜林ダム建設場や熙川2号発電所のダム建設場などを見て回った。 現地で総書記は、電力問題解決が強盛大国の建設における「最優先課題」だと指摘。「急速に成長する電力需要を満たすためには電力生産を増やすのと同時に新たな発電所をいたる所に多く建設しなければならない」と述べた。 同発電所は、過去20年間に国内で建設された水力発電所のなかで、もっとも出力が高いとされる。一般的に10年を要するとされる工事だが、2012年まで約3年で完成させるという目標を掲げている。電力の主な供給先となる平壌市が、12年の完工をめどに10万世帯の住宅建設事業を展開していることと関連する。 今回の指導でとくに注目されるのが「熙川速度」というキーワード。総書記が命名した。 朝鮮では、4月20日から9月16日まで経済部門の生産性向上に主たる目的を置いた「150日戦闘」を全国的に展開した。 熙川発電所では期間中、基礎コンクリート打ちこみ工事をはじめ、数年かかるぼう大な作業量を5カ月で仕上げたという。 総書記は、建設作業員たちが能率的な作業方法を積極的に取り入れ、ダム工事で目覚ましい成果を収めていることに大きな満足の意を表し、彼らの功労を高く評価した。「熙川発電所建設場に流れる1分1秒がまさしく飛躍と革新である」と指摘しながら、発電所建設現場の仕事ぶりを「熙川速度」と命名した。 一方、「150日戦闘」終了直後から始まった「100日戦闘」では、「勝利の秘訣は(経済の各分野で)『熙川速度』をどう具現するかにかかっている」(労働新聞25日付社説)と強調した。 食糧問題解決 経済と人民生活の水準を引き上げ、強盛大国の大門を開くという「2012年構想」実現に向けて食糧問題の解決は必須の課題だ。 こうしたことと関連し、総書記の活動でも、金策大興水産企業所(3日発朝鮮中央通信)、大同江食料工場(29日発朝鮮中央通信)、平壌ナマズ工場(30日発朝鮮中央通信)など食糧部門への指導が目立った。 14日発朝鮮中央通信が伝えた平安北道の楽元機械連合企業所は食糧問題解決における要だといえる。というのも、国内の肥料生産システムの主要設備が製造されているからだ。 同企業所への指導は、昨年11月、今年2月にも行われた。 同通信によると、今回の指導で総書記は新たに製作した酸素分離機(液体酸素製造装置)を見て回った。とくに、興南肥料連合企業所(咸鏡南道)のガス化アンモニア工程に必要な1万5千m3級の大型酸素分離機の生産を短期間で終えるための集中作業を展開していることを高く評価した。 総書記は今年2月、農村への十分な肥料供給に向け、国内の原料と資材による肥料生産システムの構築に取り組んできた同企業所を現地指導した際、その核となるガス化アンモニア工程の建設計画を検討し、その直後に、楽元機械連合企業所も訪れた。 ガス化アンモニア工程を完成させるうえでカギとなるのが、酸素分離機の生産だからだ。楽元機械連合企業所関係者によると、来年4月までに1万5千m3級の大型酸素分離機を2台生産する予定だ。 総書記は、「1万5千m3級の大型酸素分離機をわれわれの力、われわれの技術で生産しているのはわが国の工業の巨大な潜在力を明白に実証している」と述べた。 中国特使と会見 総書記は18日、胡錦濤・中国国家主席の特使、戴秉国国務委員一行と会見した。 中国国営新華社通信は18日、平壌発の記事で、総書記は戴国務委員との会見の席上、朝鮮が非核化の目標を引き続き堅持し、朝鮮半島の平和と安定を維持するため努力し、この問題を2国間または多国間対話を通じて解決するよう望むとの立場を表明したと伝えた。 朝中両国は今年、外交関係設定60周年に際し政治、経済、文化など幅広い分野での往来、交流を展開。伝統的な朝中友好の歴史を引き続き発展させることについて繰り返し強調している。 総書記が中国の党、政府高官と会見するのは今年1月23日の王家瑞・中国共産党対外連絡部長以来のことだ。 一方、朝鮮中央通信は28日、朝鮮労働党中央委員会と朝鮮政府の招請により温家宝首相が訪朝(10月4〜6日)することを発表した。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2009.10.14] |