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〈離散家族・親せき再会 金剛山現地レポート〉 「これ以上別れて暮らせない」

61年ぶりに娘と再会

 ソウルに住むチョン・ヒャンジャさん(65)は父親のチョン・キボンさん(85)が自分のテーブルに向かって歩いてくるのを待てずに駆けよった。

 「アボジ! アボジ!」と叫びながら半世紀ぶりに会った父親に抱きついた。

 親子が別れたのは1948年。ヒャンジャさんが3歳の時だが、一目見た瞬間、自分の父親だとわかった。

娘と抱き合うチョン・キボンさん

 会場には、キボンさんの甥にあたるチョン・チャンヒさん(47)、孫のチェ・ヒョンジョンさん(42)、チェさんの夫になるチャン・ジェウクさん(42)、ひ孫のチャン・ヒミョンさん(16)らが同席した。

 24年に忠清南道ソチョンで生まれたキボンさんは、幼い時から家族離散の痛みを抱えて生きてきた。

 4歳で父親を失った。その後、キボンさんは祖母が、3歳下の妹オクポンさんは母親が育てた。

 キボンさんは15歳で普通学校を卒業し、単身日本に渡り5年間苦学した。その間に徴用され日立工業で労働に服した。

 朝鮮独立後、南朝鮮へ戻り、ソウル帝国大学で学んだ。学生運動に身を投じたため、当局の目を避けながら生きていかなければならなかった。そういう生活の中で家族と別れ、朝鮮戦争勃発後、朝鮮人民軍に入隊した。

 北側に親族のいないキボンさんは、今回やっと南側にいる家族との対面を果たした。

 これまで、南側にいるたった一人の妹であるオクポンさんの安否を常に心配してきた。しかし、今回の対面で妹の他界を知らされた。

 一方、南側に残してきた妻はソウルで生きていると聞いたが対面を果たすことはできなかった。

 「これ以上離れて暮らしたくない。多くの離散家族や親せきが自由に会い仲良く暮らせる道は祖国統一だけだ。わが民族同士で力を合わせて一日も早く統一を成し遂げなければ」

 幼いころからたび重なる離散の痛みを抱えてきた人間の悲痛な叫びだった。

[朝鮮新報 2009.10.7]