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〈飛躍と前進の「150日」−L〉 経済成長、「限界」への挑戦

「自分を乗り越える」

 【平壌発=金志永記者】平壌市平川区域に位置する3.26電線工場は工場独自の力で生産工程を一新させた。現代化のモデル工場として全国に知られている。メディアを通じて何度も紹介された工場の風景は「150日戦闘」期間に変化した。工場正門前に掲示された一枚のポスターもそのひとつだ。

通勤風景

3.26電線工場の生産現場

 そのポスターは本来、工場敷地内にあった。ポスターには男性労働者が目の前の相手に問いかける絵が描かれている。「君は千里馬に乗ったか」「躊躇と保身、弱音と卑怯を一蹴しよう」など、朝鮮が飛躍的な経済成長を遂げた1950年代、「千里馬大高揚」と呼ばれた時期に登場したスローガンだ。同工場では従業員全員が当時の精神で働くことを呼びかけてきた。

 しかし、「千里馬に乗ったか」という問いかけはキャンペーン期間、「君は強盛大国の大門を開くためどのように働いているのか」に変わっていた。

 「昨年末、金正日総書記は千里馬製鋼連合企業所を現地指導し、2012年に『強盛大国の大門』を開くことを呼びかけた。4月20日からは『150日戦闘』が始まった。われわれの前に新しい目標が示された。今までと同じように働くことはできない」とキム・ソンウン技師長(52)は話す。彼をはじめ従業員たちは出退勤時、工場正門前にはられたポスターを見る。従業員たちは「呼びかけと強要は違う」と話す。ポスターはあくまでポスターだ。奮起を促すスローガンが記されているのみだ。しかし、従業員たちは工場正門を通るたびに、自身の仕事ぶりを思い浮かべてその遂行状況を自問する。

 キム技師長は管理職の立場からこう話す。

 「正門前に設置されたポスターは、従業員たちへ国の経済復興のために工場が果たすべき役割や電線増産の必要性に対する自覚を促すものだ」

年間計画遂行

 朝鮮経済は計画経済のため、今年度の生産計画は昨年末の時点で立てられた。

 同工場では「150日戦闘」期間、当初の年間計画の達成時期を繰り上げる目標を立てた。

 電線を必要とする工場や企業所は多い。他の経済単位が「150日戦闘」期間に、以前より高い生産目標を掲げればそれだけ電線の需要も増す。したがって同工場の目標にも変動が生じる。

 「150日戦闘」開始から約3カ月が経った7月、同工場は今年度の生産計画を達成した。しかし、工場は引き続き稼動している。課題は量的な増産だけではない。電線の納期の前倒しを求める対象が増えた。

昨年の2.3倍

 「自分を乗り越える」というのが「150日戦闘」を繰り広げたキム技師長の感想だ。課題を遂行するため必死に働くと、能力の限界だと思っていたことも達成できた。

 キム技師長の計算によると、この期間の生産量は昨年の2.3倍にのぼる。

 「現代化に取り組む過程で毎年生産はプラス成長だったが、振り返れば、工場の生産能力をすべて発揮したわけではなかった。工場をうまく回転させればさらに高い水準を追求できる」

 自らの潜在力を自覚することによって変化が起きた。増産のスローガンを掲げる一方で、従業員のための福利増進対策が同時に講じられた。食堂では食事の質を高め、工場内には託児所を設けた。

 昼時ともなれば子どもたちの笑い声が聞こえてくる。「150日戦闘」期間に工場の風景は変わった。

 「自分の限界を超えることは大変なこと。しかし、一度登りつめた到達点から後退はできない。われわれに電線を発注した全国の経済機関も同じ気持ちだろう」(おわり)

[朝鮮新報 2009.9.16]