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問われる首脳合意の精神 北南赤十字会談の現場から

 【高城発=金志永記者】金正日総書記と現代グループ会長との会見、特使弔問団のソウル派遣など北側の積極的な措置によって北南関係が新たな局面に入る中、双方の赤十字代表が金剛山で会談した。1年9カ月ぶりに開かれた赤十字会談では、秋夕(中秋節)に行う離散家族・親せきの再会のスケジュール、形式などを協議し、合意文書が発表された。

中断の教訓

 2年ほど前まで北と南の間で数多くの対話と交流が行われていた金剛山。人道問題を協議する赤十字会談にも北南関係の現実は反映されていた。双方の代表らが協議の過程で確認することになったのは北南首脳宣言の精神だ。

 李明博政権発足後、北南関係は悪化の一途をたどった。これによって離散家族・親せきの再会事業も中断された。政治的状況に関係なく、人道主義事業は行われるべきだという主張もある。しかし、人道問題も朝鮮半島の現実から無関係ではいられない。北南関係がこう着状態に陥るたびに、「赤十字の精神」が政治的な現実によって否定されてきたことは厳然たる事実だ。

 1年9カ月ぶりの赤十字会談も赤十字団体の決心だけでは開催は不可能だった。金正日総書記と現代グループ会長の会見を通じて、離散家族・親せきの秋夕再会が現実的な計画として浮上した。会見の翌日に発表された朝鮮アジア太平洋平和委員会と現代グループとの共同報道文には、「双方が6.15共同宣言と10.4宣言に基づき北南関係を改善し、民族共同の繁栄のための協力事業を積極的に発展させていく意志を表明」したと指摘されている。

 昨年来、北側は6.15、10.4両宣言に否定的な立場を取る李明博政権を非難してきた。この間、離散家族・親せきの再会事業が一度も行われなかったという現実は、この問題の解決のためにも北南首脳宣言の履行が重要だということを示している。

改善のきっかけ

 今回の会談で北側は、秋夕に行われる再会事業が北南関係改善の新たなきっかけ、李明博政権発足後初めてとなる北南首脳宣言の履行プロセスの始まりになるだろうと強調した。

 2000年の6.15共同宣言発表後、最初に行われた大規模な交流事業は、ほかでもない離散家族・親せきの再会だった。同年8月15日、平壌とソウルで北と南の離散家族・親せきが約半世紀ぶりに再会し、熱烈な抱擁を交わした。

 離散家族の問題を根本的に解決できる展望は「6.15時代」に入って初めて開かれた。民族分断による離散家族の悲劇は統一を実現する過程を通じてのみ解消できる。

 北側の赤十字関係者は、「われわれが北南首脳合意の履行を再三強調しているのは、それが離散家族問題の根本的な解決を促進する道だから」だと指摘した。離散家族の再会事業も北南関係発展と統一に寄与するものになるべきだという主張だ。

対決の清算を

 北南関係が新たな局面に入る中で、首脳合意に対する李政権の態度に関心が集まっている。目に見える変化はまだ確認されていないが、李政権が離散家族問題の解決に関心があるなら結論はおのずと定まっているはずだ。

 北側は北南共同宣言の精神に基づいてこの問題を扱うことが、両赤十字団体の使命にも適合すると考えている。民族共同の統一綱領に立脚してこそ、北と南は人道問題でも実質的な協力が可能になる。離散家族の再会をはじめとする事業も中断されることなく、持続的に進めることができるだろう。

 北側の赤十字関係者は今回の会談で、不信と対決という古い観念を大胆に破壊し、民族の和解と繁栄のために手を取り合うことを呼びかけた。相手が差し出した手を握り返してこそ、全般的な北南関係は発展することができる。

[朝鮮新報 2009.9.2]