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特使弔問団のソウル訪問 平壌市民 情勢進展に期待感

「後戻りしない変化」を

 【平壌発=金志永記者】「本当によかった」。ソウルに派遣された特使弔問団が青瓦台で李明博大統領と会い、北南関係を発展させていく問題を話し合ったという報道に接した平壌市民の反応だ。

 特使弔問団派遣のニュースは数日間、平壌でも関心の的だった。特使弔問団派遣に先立つ16日、金正日総書記が玄貞恩・現代グループ会長と会見し北南関係改善の突破口が開かれた。最高指導者の委任を受けてソウルに派遣された弔問団に「特使」という肩書きがついた。市民らは一連の情勢進展の動きに、最高指導者の揺るぎない政策的意志を感じ取ったようだ。

 李明博政権発足以来、北南関係は悪化の一途をたどった。北南間の対話と協力がしゃ断されることを快く思う人はいない。しかし、原則を譲歩してまで「対話ある対決」の状態を持続させることには断固反対の立場だ。北側の人びとは冷戦時代にはなかった、「6.15時代」にふさわしい北南関係の発展を願っている。

 特使弔問団の青瓦台訪問と李明博大統領との面会という突然の出来事にも、平壌市民は特別驚く気配がない。

 「すべて、総書記の意図だ」

 最高指導者の決断に対する絶対的な信頼は北の世論の特徴でもある。8月初旬のクリントン元米大統領の訪朝に対する見解も同様だった。

 北と南は昨日までは反目と対決の道を進んでいた。しかし、軌道を正しく修正すれば北南関係は速いスピードで発展することができるというのが今後の情勢に対する平壌市民の一般的な見解だ。

 6.15共同宣言とその実践綱領である10.4宣言という双方の首脳による合意がすでに存在している。民族共同の統一綱領は米国政府も支持と歓迎の意を示した文書だ。

 南側には昨年の時点でも、6者会談の合意に沿った朝米の同時行動措置を北の「通米封南」(「米国との関係を重視し、南側との関係を軽視する」の意)戦術の一環だとしながら、その流れをせき止めようとする勢力が存在した。

 今回も、現代グループ会長訪北以降の流れを、初めから「通民封官」(民間レベルの交流を活性化させる一方で、当局間関係は疎遠なままにしておくとの意)と規定して、世論を誤った方向に誘導した。

 しかし、北側には今日の事態の進展を緊張緩和のための一過性の変化と見なす視点はない。

 朝鮮半島をめぐる情勢が大きく転換しつつある。北では今年2009年を「変化の年」と規定している。国内メディアも「変化の年」というフレーズを繰り返している。「変化」が何を意味するのか、まだその全体像は明らかになっていないが、特使弔問団の南朝鮮訪問を機に「後戻りのない変化」が始まることは間違いない。

[朝鮮新報 2009.8.28]