top_rogo.gif (16396 bytes)

野党、市民団体ら当局に注文 「履行へ積極的な取り組みを」

 現代グループの玄貞恩会長が北側と離散家族再会などに合意したことに対し、南朝鮮当局は前向きに評価する一方、履行には当局間の合意が必要だというスタンスだ。

 統一部の千海成報道官は17日の会見で、「合意事項を肯定的に評価する」と述べる一方、これらは民間レベルの取り決めであり、実現には当局間の対話を通じた具体的な合意が必要だと述べた。「南北当局が早期に合意にこぎつけられるよう努める」とし、とくに離散家族の再会を秋夕前に実現できるよう努力すると強調した。

 一方、金剛山観光の再開に関しては、当局協議を通じて昨年の南朝鮮観光客銃撃事件の真相を究明し、再発防止対策と観光客の安全を守る制度的な措置を整えるべきという従来からの立場を繰り返し表明した。

 統一部は5項目の合意のうち離散家族の面会事業を優先的に進める方針を明らかにしており、事業推進のために赤十字会談を北側に提案することも検討していると伝えられている。

 金剛山、開城観光を取り仕切る現代側には事業再開に対する期待感が広がっている。

 金剛山観光の事業主である現代峨山の趙建植社長は離散家族の再会事業との兼ね合いで、10月3日以前にも観光事業が再開される可能性があるとの見方を示した。また、合意事項の履行と関連して、「南朝鮮当局と十分に協議したうえで、一つずつ解決していくことが必要」と述べた。

「ボールは南側に」

 一方、南朝鮮の民間団体や野党、南北関係の専門家からは「李明博政権が合意の履行に向けて積極的に取り組むべき」という声が相次いで挙がっている。

 6.15共同宣言実践南側委員会は17日、スポークスマンの論評を通じて、「長期間にわたる南北関係のこう着打開の突破口が開かれた」と合意内容を評価した。同委員会は「南北関係の現状から見ても、今回の合意の持つ意味は大きい」とし、李政権に対して「当局間の対話再開に積極的に取り組んで、今回の合意を南北関係転換のきっかけにすべき」だと注文をつけた。

 民主党のロ・ヨンミン議員は、「対話よりも対決を追求してきた政権にとって新たなターニングポイントになる」とし、「合意の履行は南北関係の正常化を展望する試金石」と主張した。

 民主労働党のウ・ウィヨン代弁人は、「南側政府の政策転換の意志がなければ合意文は紙くずになる」と述べ、李政権は「民間の動きを黙殺するのではなく、合意事項の履行に向けて積極的に努力すべき」と強調した。

 進歩新党のキム・ジョンチョル代弁人も、「今回の合意を機に政府の対北政策にも変化が起こらなければならない」と指摘した。

 鄭昌鉉・国民大教授は「北側としては、民間企業である現代に対して可能なかぎりの便宜を図る意向を表明した形だが、6.15、10.4宣言が履行されなければ当局間の対話はありえない」と分析し、今回の合意に対する過度の楽観視を戒めている。

 梁文秀・北韓大学院大学教授も「ボールは北側から南側に投げられた。南側がボールをどのような形で受け取るかが重要だが、李明博政権にとって態勢を整えるのは容易ではないだろう」と見ている。(李相英記者)

[朝鮮新報 2009.8.21]